初期研修の2年間を過ごす間に、どこの大学病院のどの診療科に入局するかを決める必要があります。
一生を左右する医局生活ですから、本当に医局に入るべきかどうかも含めて、慎重な検討が必要になるかと思います。
ここでは医局に入る際に、心得ておくべきことを書いておきたいと思います。
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心得ておくべきこと
困ったときには誰も助けてくれない
いきなり失望させるような文言で申し訳ありません。
医局とは病院内部の共同体であるわけですが、残念ながらだれか困っているときには、周囲の人間は助けてくれません。
例えば自分の仕事が忙しいときには、周りの人が助けてくれる事はありませんし、面倒な仕事を代わってくれるわけでもありません。
また評判の悪い関連病院に異動になったとしても、「大変だね」と言ってくれるだけで、手を差し伸べてくれる事はありません。
周囲の人間が冷たいと言うよりは、みんな自分自身のことでいっぱいなのです。
ですから、医局に入れば誰かの助けを得られるとか、仕事をやってもらえるかもしれないといった考えは捨てた方が良さそうです。
トラブルがあったときは要注意
病院内部でトラブルが起こった場合にも注意が必要です。
患者さんとのトラブルがあり、例えば医局のブランドが汚れてしまう場合には、全力で守ろうとしてくれるかもしれません。
ただし個人を切り捨てることで問題が全て解決するような場合には、そのミスに関連する個人が容易に切り捨てられてしまいます。
つまりはトカゲの尻尾切りのような状況が生まれてしまうわけです。
実際に医局内部で起きたトラブルに関して、教授や准教授の地位や医局全体のて体裁を守るために、末端の医局員に責任を負わせるのはよくあることです。
またパワーハラスメント(パワハラ)があった場合にも、辞めるのは加害者ではなく被害者であることも往々にしてあります。
医局とは旧態依然の組織であり、クリーンな運営を求めるのは難しいのです。
大学病院からの給料が安い
これも大学病院の定番なのですが、大学病院からもらえる給料は安いですね。
低すぎる給料を補うために、若手の医師は近隣病院での当直業務をすることが多いでしょう。
ある程度の経験を積んだ先生であれば、週に1日だけアルバイト勤務として外来業務などを行なっていくことになるでしょう。
働く場所を選べない
既にご存知の事ですが、医局に入ってしまっては、自ら勤務先を選ぶことができません。
すべて教授や医局長の指示通りに動かなければならないのです。
私も医局に入る際に、「妻の勤務地を考慮してもらえますか」、と聞いたことがありました。もちろんその時の教授の答えはノーでした
このような勤務先を選ぶことのできない事実を、医局の人事だから仕方ないと割り切るか、より良い待遇を求めて民間病院に勤務するかは、各個人の先生の判断によるところなのでしょう。
家族と離れ離れで生活することは、現実問題として大変ですし、経済的な負担にもなります。
こう考えてみると、医局にどうしても入らなければならない事情がない限りは、極力回避した方が無難かもしれません。
上にも書きましたが、医局は個人の希望よりもずっと、組織としての利益を追求します。
ですから下っ端医局員の希望なんぞまったく考慮していません。
大学病院に勤務しなければならない
医局に入ったからには、当然大学病院で何年かは勤務しなければなりません。
今ひしひしと感じるのは、わざわざ大学病院で働かなくても、一般的な臨床医になるということに関しては、医局に入る必要はほとんどないと言うことです。
大学病院にしかやってこない症例は極めて限定されますし、そもそも市中病院で勤務するのであれば、わざわざ診断や治療に精通する必要はありません。
今や医局の権力は衰え、医師の労働市場は非常に流動的になっています。医師の転職を斡旋する企業も、大手から小さいところまで乱立状態です。
専門医をとって一般的な臨床能力を身に付けると言うことを目標にするのであれば、必ずしも医局に入る必要は無いかもしれません。
女性医師にとっては働きやすいかもしれない
医局に入ることのメリットを挙げるとするならば、女性医師が産休や育休取得する際には、大学病院というのは良い場所であるかもしれません。
大学病院に勤務している医師と言うのは数が多いですから、誰かが休んだ場合には、容易に勤務を交代してもらえるというメリットがあります。
同時に周囲の人間の負担がそこまで大きくならないので、気を使わないこともメリットですね。
たとえば当直に関しても、多くの医師で分担して行なっているわけですから、残された医師たちの当直の回数が1.5倍とか2倍になるといった事態をさけることができるわけです。
まとめ
以上が医局に入る前に知っておくべきことでしょうか。
もし、医局で一生働き続ける自信がないのであれば、とりあえずのところ東京の病院で勤務することをおすすめします。
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