夜のニュース番組で、労働者の転勤について特集が組まれていました。
転勤によって配偶者や家族と離れ離れになってしまうのはもちろん、親の介護や子供の教育なども犠牲にしなければならないリスクがあるようです。
このような転勤は、大学病院の医局に所属している医師にも確実に存在しています。
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医者の世界に存在する医局派遣
大学病院の医局に所属する医師とは切り離せないのが、医局派遣です。
例えばある大学の医局に所属した場合には、大学内の医局人事の発表のままに、いろいろな病院に派遣されることになります。巷では医局派遣と言われています。
東京大学や京都大学と呼ばれる有力大学では、近畿地方や関東地方といった単位ではなく、西日本や東日本といった単位で転勤が行われることがあります。
例えば京都大学なんかでは、西は九州から、東は中部地方まで関連する病院があり、これら地域にある関連病院に転勤の可能性があります。
一方で首都圏にある小さい医科大学のような場合には、せいぜい転勤があっても隣の都道府県なんてこともあるようです。
北海道なんかも、札幌を中心にして函館から稚内、釧路までのいろんな病院への転勤を命じられるのでしょうか。
そのほか岩手、新潟、秋田、長野、宮崎・・・など面積の多い都道府県の大学医局はの医師はいろいろと大変そうです。
医局派遣に伴う医師の負担
さて、転勤に伴って家族に負担がかかったり、親の介護ができなかったりといった点は医者もサラリーマンも同じです。
家族のこと
家族一緒に新たな場所に引っ越す場合には、奥さんの仕事にも一区切りつけなければなりません。
医局派遣の場合には突然遠く離れた病院に勤務を命じられますから、夫婦が揃ってフルタイムで働き、なおかつキャリアアップするのは至難の技です。
また子供たちも転校することになりますから、精神的な負担はあるでしょう。
経済的なこと
負担は家族だけではありません。
分譲マンションや一軒家に住んでいる場合には、新たな勤務先の近くに家を借りる必要がありますから、経済的な負担は大きくなります。
したがって医師にとって持ち家をいつ購入するかは非常に難しく、特に売買の難しい一軒家を購入するタイミングは慎重に見極める必要があります。
医局派遣の際に個々の事情はある程度考慮される
もちろん医局派遣に関しては、一定程度の事情は考慮されます。
たとえば女医さんで子供が小さく、夫婦揃っての子育てか必要である場合や、同じ医局に所属している夫婦などの場合は、ある程度勤務先・場所も考慮されます。
もちろん親の介護の場合も、考慮されるのかもしれません。
ただ、医者夫婦であっても医局が異なる場合や、ただ単純に「この病院を希望します」というような希望は考慮されないことが多いですね。
基本的には医局の良心に委ねるしかありません。
ですから新婚の医師夫婦であっても、医局派遣によっていきなり別居状態になってしまうことも多々あります。
病院が変わった場合には、ほとんどのケースで転居が必要
さて、実際に遠く離れた病院への異動が命じられた場合、ほとんど場合は転居が必要です。
医者の場合には、土日だからと言って必ず家に戻れるわけでは無いですし、平日の夜も呼び出しが頻繁にあります。
したがって通勤時間が1-2時間というのは、特に若手のうちは仕事を放棄しているに等しく、病院まで少し距離がある場合には、病院の近くにアパートやマンションを借りて生活する必要が出てきます。
病院から電話がかかってきて病院に到着するまで1時間以上かかるようだと、病院側や同僚からもあまりよい顔はされないでしょう。それに自分自身も辛くなってくるでしょう・・・。
年齢を重ねると、医局派遣は次第に落ち着いてくる
そんな悪名高き医局派遣なのですが、医師としての経験を積み年齢を重ねてくると、医局命令による異動は落ち着きを見せます。
これは医局側の配慮なのかもしれませんし、ある程度ベテランの医師を動かす必要性がない現実的な理由からなのかもしれません。
キャリアアップや、自分の能力の幅を広げるためには転勤は不可欠だと思いますが、可能なら自分や家族に負担のかけない範囲で転勤したいものです。
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