小学校で起きたノロウイルスが原因の食中毒事件です。
ぎざみノリって乾燥してますから、よもやウイルス感染の原因にならなそうなのですが、刻み海苔が原因でノロウィルスの食中毒が起こってしまったようです。
全く、ノロウイルスというのはよくわからないものです。
小学校の集団食中毒 原因は「刻みのり」 東京・立川
東京・立川市の7つの小学校の児童と教職員1000人余りがおう吐や腹痛などの症状を訴えた、ノロウイルスによる集団食中毒で、東京都は、学校給食に使われた「刻みのり」が原因と特定しました。
製造・販売会社が商品を自主回収するとともに、都も注意を呼びかけています。
東京・立川市では、2月17日以降、7つの小学校に通う児童と教職員1000人余りが、相次いでおう吐や腹痛などの症状を訴え、このうち児童9人が一時入院しました。
NHKニュースweb 2017.3.15
ノロウィルスとは、冬の間に集団食中毒を起こす主な原因ウイルスとされています。
病院の中でも、冬期間に嘔吐した患者さんがいればノロウィルスの疑いありとして、隔離されます。そしてその患者さんがノロウィルスを持っているかどうか、検査を行うことになります。
私から見ていると、看護師さんの対応はいささかやりすぎている感じもするのですが、病院全体の体制として、やはりノロウィルスに細心の注意を払っていると言うことなのでしょう。
吐瀉物も当然感染源になりますので、掃除をする人たちもこれらに触れないようにしてすごく大変なようです。
刻み海苔でも感染源になりうるという驚き
さて食中毒と言うと、腐敗の進んだ食べ物を口にしたり、汚い手で触った湿気のある食べ物から感染するようなイメージがあります。
肉とか野菜とか、腐ってしまうような食物で食中毒、というのはイメージ的にも理解できるのですが、まさか刻み海苔と言うような乾燥したもので食中毒になると驚きです。
よもや乾燥した海苔が感染源になるなんて考えもしませんから、対応は難しいでしょうね。
ただよく考えてみると、ノロウイルス自体は洗面台やトイレなどの乾燥した場所でも数週間は生存可能なのようですので、刻み海苔が感染源となっても全くおかしくはありません。
通常、ウイルスについての詳細な研究を行うには適切な動物培養細胞を探して感染させ、ウイルスを増殖させることが必要であるが、ヒトに感染するノロウイルスについては実験室的に増殖させる方法がまだ見つかっていない。
このため、検査や治療方法に対する研究が他のウイルスと比べて格段に遅れているのが現状である。乾燥した状態でも、4℃では8週間程度、20℃では4週間以上感染力を失わないとされている
ノロウイルスの有効な治療法はない
ちなみにノロウィルスと診断されたからと言っても、劇的に効果のある治療法はありません。
大人であれば消化に優しいもの食べ水分補給を十分にすることが最善の治療とされています。
冬に下痢・嘔吐で救急外来にやってくる患者さんでも、食中毒を疑って、口から水が飲めている場合は、とりあえず必要な内服薬だけ処方して帰宅させます。
経口摂取できていれば点滴は基本的には必要ありません。高齢者や子供であれば、脱水になりやすいので適宜点滴を行いながら胃腸の症状が回復するのを待ちます。
ある開業医の先生などは「ノロウィルスとわかったところで治療法は変わらないし、基本的には胃腸炎と同じように水分補給と安静しかないのだから、ノロウィルスの検査はあまり意味がない」とおっしゃっている方もおられました。
ノロウイルスの感染予防
過酷な環境でも生き続けるノロウイルスへの予防は、衛生管理しかありません。
上述した感染経路を考慮すると、特に飲食物を扱う人が十分な衛生管理を行うことが効果的な感染予防につながる。
特に調理者が十分に手洗いすること、そして調理器具を衛生的に保つことが重要である。
ノロウイルス属(ノーウォークウイルス種)はエンベロープを持たないウイルスではあるが、逆性石鹸(塩化ベンザルコニウム)、消毒用エタノールなどが一般的な感染症対策として用いられる。
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