当直帯に出会う医師たち。彼らはすごく大変そうである

医者の長時間労働や激務が、ようやく話題に上るようになりました。

そんな私もある土曜日の夜に病院で当直していたですが、いろんな診療科の先生に出会いました。

医者ながら「あーやっぱり医者って忙しいんだなぁ」と思った瞬間を記事にしたいと思います。

同期の循環器外科医

土曜日の夜10時ごろ。

病院内のコンビニで買い物を終えて当直室のある病棟に戻ろうとした頃、エレベーターを降りてくる男性がいました。

顔をよく見てみると、大学時代に机を並べて一緒に勉強した循環器外科の医者でした。土曜日の夜10時にエレベーターの中から私服で現れたのです。

この時間に家に帰ろうとしているという事は、おそらくは緊急で呼び出しを受けたとか、もしくは土曜日にもかかわらずこの時間まで手術をしていて、無事に手術が終わったのだと推察されます。

当直でもないのに、土曜日の夜10時まで働いているなんて、恐ろしい働きぶりです。もちろん代休があるわけでもありません。

循環器外科は、病院の中でも1、2を争う位に忙しい診療科といわれますが、まさに休みがありません。

彼は在学中は特段真面目であるというわけでもなかったように記憶していますが、長時間労働に耐えうるには、何か違った特殊な能力が必要なのかもしれません。

見覚えのある中年病理医

同じく土曜日の深夜、これまた病院を歩いていると見覚えのある中年の病理診断医に出くわしました。

何かしらの書類仕事をしていたのか、病理解剖をしていたのかわかりませんが、とにかく土曜日の深夜に私服で病院を歩いているのです。

病理診断科のイメージとは日々顕微鏡と向き合い、オン・オフがはっきりしている診療科と思いがちですが、実際はそうでは無いようです。

診断すべき病理標本が残っていれば、休日であっても仕事を進めなければならないですし、病理解剖ともなれば、休日夜間を問わずいつでも呼び出しを受けてしまいます。

病理診断科の医者でも土曜日の夜に働いているようですから、もはや勤務医に安住の地はないのかもしれません。

病院の中で行われる病理解剖の概要について。死因を特定するために行われる解剖

2017年12月30日

私服の小児科医

またある時には、明け方の3時ごろに私服姿の小児科医と出会ったこともありました。

私服である事から察するに、通常勤務を終えてからずっと病院にいたわけでもなく、かといって当直でもなく、おそらくは病院から呼び出しを受けてやってきたのでしょう。

小児科も急変が多く、労働時間に関してはすごく忙しい診療科の1つと考えられています。

それにしても夜中の3時ごろに病院に来なければならないなんて、一体何があったのでしょうか。

夜中3時ごろに呼び出しを受けた仕事が終わったからといって、家に帰って十分睡眠が取れるわけではないですし、かといって朝方まで働き続けたところで、朝7-8時ぐらいからは通常の業務をしなければなりません。

やってみるとわかるのですが、睡眠不足の状態で外来業務なんかをやると、本当に全く集中できず、危うく重大なミスをおかしそうになります。

肝心の私も

さて当直していた私自身は、そんなに忙しくもなく着々と書類仕事を進めることができていました。

とはいっても、いつ当直対応で呼び出されるかわからない環境で一晩を過ごし、いつもと違った環境で眠るのは自分が感じている以上にストレスがかかっているのかもしれません。

眠れた、と思った翌日の通常勤務の日でも、15時くらいからはなんとなく眠くなってくることが多いように思います。

上記の先生方にとっては、当直していなくとも病院から呼び出しをうけて深夜であっても働かなければならない、異常な労働環境といっても良いかと思います。

やっぱり医者は忙しいのだなぁ

以上深夜に見かけた3人の医者をご紹介しました。

このような記事を書いている私だって、当直をしたからといって代休がもらえるわけではなく、翌日の業務が免除されるわけではありません。

これまで軽く何百回と当直してきましたが、翌日に休みがもらえたのは初期研修で精神科当直をした2回だけです。あとはずーっと当直明けも通常勤務です。

命を預かる電車の運転手やパイロット、バス運転手なのであれば、決められた労働時間に対してきっちりとした休みを取る事は当然なはずです。

バスの運転手が徹夜で働き、翌日の通常勤務で事故を起こしたらならば、バス会社は厳しく糾弾されるでしょう。どうしてそんな運転手に勤務させたのか、と。

しかし同じように人の命を預かる病院の世界、医者の世界ではそれが通用しないようです。むしろ早く帰ろうものなら「どうして17時になってないのに帰るの?」くらいの勢いです。

私も研修医時代には、あまり眠れない当直明けで外科手術に第二助手として入ったことがあります。

キンコウと呼ばれる視野を広げる器具を持ちながら、数十分ほど記憶が飛んでいたことがありました。

誰に怒られるわけでもなく、患者さんに害があったわけでもないですが、もし自分が患者だったら…と思うと異常な事態ですね。

こんなことは医療の世界では日常茶飯事です。いい加減に人間らしい生活をしてみたいものです。

医者は長時間労働や当直で休めない。病院はブラック企業である

2018年1月5日
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