公立病院で勤務している医師の場合には、オフィシャルには金銭を受け取れないことになっています。
病棟にも「贈り物はダメです」といったような張り紙がされています。
ただし実際には患者さんから、何かもらいそうな状況になると、断りきるのは結構難しいものです。
コンテンツ
断ることの難しさ
患者さんから現金に限らず、お世話になったお礼として贈り物をされることはしばしばです。
表面上は断ろうと試みても、よくある「いやいや」「是非」「いやー」「まぁまぁ」といったやり取りになって、最終的には何かしら頂いている先生が多いのではないでしょうか。
また患者さんもそのことを知ってか知らずか、医者に直接渡すのではなくて、看護師さんや他の病院職員経由で渡してくる方もいます。
こうなってしまうと送り返すこともできず、お手上げです。
患者さんからの頂きものを断るのも悪いですし、実際のところは本気で断るのは難しいものです。
お菓子はよくいただく
よくいただくのは、お菓子、菓子折りでしょうか
患者さんが退院したり治療が終了したりするするときには、そのご家族からお菓子の詰め合わせをいただくことがあります。
また外来で経過観察している患者さんからは、不意にコンビニで売っているようなスイーツやドリンクをもらったりします。
これいくらいなら気兼ねなく受け取れるので、受け取りやすいのですが。
もちろんこのようないただきもののは、医師個人のものとするのではなく、診療科の医師全体や、病棟全体で共有するようにしています。
現金ももらったことがある
またあまり大きな声では言えませんが、現金をいただいたこともあります。
これは流石に気が引けます…
研修医時代にもらった記憶
私が研修医の時でしたが、ある入院患者さんのところに毎日回診に行っていました。
当然研修医と言う立場ですので、治療方針や処方に関して何の決定権もなく、ただ患者さんとお話ししているだけでした。
その患者さんの治療が無事終了し、退院すると言う段階になって、ご家族の方から数万円の現金をいただきました。いただいたというか、無理矢理ポケットに突っ込まれました。
指導医に相談したところ、「無下に断ったり、返したりするのも失礼だから、もらっておきなさい」と言われました。
私がもらっているくらいですから、直接の主治医である当時の指導医も現金をもらっていたのでしょうね。
当時の自分は、その患者さんに対して何も貢献できていなかったですし、研修医としてちゃんとお給料もらっていましたので、むしろお金をもらったことに対する申し訳なさの方が大きかったことを覚えています。
さすがにそのもらったお金で飲み食いすることもできないので、医学書を購入させていただきました。
外来患者さんから
外来で経過観察していた患者さんから頂いたこともあります。
外来から終わって医局に戻ろうとしたところ、看護師さんから「〇〇さんから先生にです」と言って、突然封筒を差し出されました。
嫌な予感がしたのですが、その封筒の中には現金が入っていました。
その患者さんには、自分でもよくやった、と思うようなファインプレー、良い診察、診断、治療をしていたのは事実ではありますが、まさか金銭をいただくとは思っていませんでした。
おそらくその患者さんなりの感謝の気持ちの表し方だったと思うのですが、その患者さんに対応しているのは私だけでなくて看護師や他の医師も同様ですので、ありがたく忘年会の席で使わせていただくことにしました。
外科の先生などはもっともらう機会があるだろう
内科医の私ですら何らかの形で金銭的なものいただいているので、手術などのより重要な場面を担当する外科の先生方であれば、もっとたくさんの贈り物、現金などもらっているが気がします。
あまり外科の先生とそのような話をしたことがないので定かではありませんが、結構もらっているんじゃないかと想像します。
患者から医師への贈り物は不要
あくまで私の考えなのですが、現金に限らず贈り物をされてしまうと、次の診察からは無下に対応することもできずに、親切な対応をしなければならず、少々めんどくさい部分もあります。
急いでいる時には、本心では早々に診察を切り上げたいと思っていても、金銭を頂いてしまった患者さんの場合にはそれも難しいですね。
当然ですが病院で働いている医師は、生活していくためには十分な給料をいただいているので、金銭そのものをもらうことに対するうれしさ、というのはあまりないのが正直なところです。
もちろん1000万円とかもらえれば住宅ローンの返済に充てるとか夢も広がりますが、あくまで現実的な範囲での話です。
したがってもし言葉以上の感謝を示すのであれば、お菓子の詰め合わせなど、金銭的にあまり負担のならない範囲で、受け取る方も気軽にいただけるモノの方が良いかと思います。
コメントを残す