医学部で学ぶ生化学は、細胞の分子機能、臓器の生化学的な動きなど幅広くなっています。
臓器の生化学的側面については、臨床医となってからも必須の知識となってきます。
インスリンの作用機序、グルコースの代謝などは、専門外の分野に進んでも必須の知識となるでしょう。
一方で細胞の分子生物学などは、臨床にすすんでしまうとやや遠ざかってしまう分野でもあります。
★★★* 細胞の分子生物学
分子生物学の名著で、生物系を専攻する学生や研究者に読まれています。
生物系の基礎系大学院であれば、ほぼ全ての学生が持っているであろうバイブルのような教科書です。おなじく医学部の学生であれば是非持っておきたいですね。
本書は辞書的に使うことが想定されますが、そのような使い方に適したように、1トピックがおおよそ1/2ページの分量で書かれています
したがってある1つの内容を理解するために、ページを遡って最初から読み始める必要がありません(もちろん前提となる知識があってのことですが)
ただしこのThe cellはあまりにも内容量が膨大であり、1500ページにも及んでいます。
とても医学部の生化学の講義期間中には通読できないでしょうし、そこまで細かい知識も要求されません。したがって*マークを付しております。
であるから、上記の要点をまとめたEssential 細胞生物学の方がおすすめですね。(★★★)
★★★ Essential 細胞生物学
★★★ リッピンコットシリーズ イラストレイテッド生化学
米国のUSMLE Step1対策に書かれた生化学テキストの訳本で、原著は非常に高い評価を得ています。原著の方が安いので、気力とやる気がある方には、是非こちらをおすすめします。
本の内容はというと、ハーパー生化学の7割くらいの内容量でまとめられています。
本書の特徴としてはタイトルの通りイラストが豊富で、視覚的に理解しやすいところにあると思います。
また原著がUSMLE対策を念頭に書かれた教科書でもありますから、臨床に直結するような内容が豊富に取り込まれています。
分子細胞生物学の分野についてもさらっと記述されており、CBT程度の知識を補完するには十分な内容となっていると言って良いでしょう。
通読するには少し文量が多いですが、医学部の講義と並行して使うには最適なテキストと言って良いでしょね。
★★☆ ハーパー生化学
医学分野のみならず、幅広い分野にわたって有名な生化学書です。本書の特徴としては、図や表が豊富に掲載されていることにあると思います。
本書に掲載されている内容はどれも重要なものですが、生化学の講義期間中に暗記するには分量が多すぎます。したがって辞書的な使い方にならざるを得ないでしょう。
私が初めて訳本を読んだとき、ほとんど頭に入りませんでしたが、Amazonでの評価は非常に高いテキストです。
★☆☆ シンプル生化学
シンプルだけあって、生化学の教科書の中ではかなり薄いテキストになっています。コンパクトにまとめられている割には、重要な代謝経路などは最低限イラストになっています。
入門書としては良いかもしれませんが、エッセンスしか書かれていないために、理解して読み進めるのが難しいかもしれません。初学者は手を出さない方が無難でしょうか。
生化学を一通り学習し終えてレビューしたい人には最適だと思われる。
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