病院の中では、週に1回とか月に1回の頻度で抄読会が行われることが多いかと思います。
抄読会とは論文をみんなで読んで知識を深めましょう、といった会でしょうか。
ここでは病院で行われる抄読会の意義について考察してみることにしましょう。
抄読会の意義
参加者が順に発表者となり、自ら選んだ(またはリーダーから与えられた)論文の内容を発表し、講義する。
聴講者は、その発表に対して質問・意見を述べる。発表者は、研究の背景を含めた全体像を要領よく的確に紹介しなければならない。
発表者は論文の選択、発表、質議への対応で評価され、また鍛えられることになる。同時に聴講者も見聞を広げることができ、高等教育機関の研究/学習に適している。
Wikipediaの輪講のトピックは、非常によくまとまっていますね。
抄読会の一番の目的は、それぞれの専門分野の最先端の知見について理解を深めるということになるでしょうか。
最近発表されたインパクトのある研究をみんなで読み共有することによって、自ら能動的に論文を読みに行かなくとも、知識を深めることができますね。
また論文をみんなで読み終わった後にディスカッションを行うことによって、目の前の問題に今後はどのように対応していけば良いかなど、日々の臨床業務に還元することもできます。
大学病院に勤務していた時などは他の先生方の討論を聞いているだけで、
「ふ〜ん、なるほど」
と思ったりもして、意外と新しい考えも聞けたりしたのです。こう考えると抄読会もちょっと役立ってますね。
抄読会で実際に行われること
1つの論文を個人が読もうとすると、読むのにも時間がかかりますし、それに読むまでには多くのエネルギーが必要です。
重い腰をあげて、ネット上から論文をダウンロードしなければならないんです。
一方で同じ病院の同僚から紹介される場合には、ただ話を聞いているだけで良いですから、随分と気持ちが楽です。
抄読会はだいたい長くても30分程度の時間で行われることが多いでしょうか。
5分だと短すぎて言いたいことも言えないですし、1時間だと長すぎて出席者の集中力が持たないですね。
いろんな抄読会に出席してきて感じるのは、だいたい15ー30分くらいが一番良い長さなのではないかと思います。
だいたい理解が深まる抄読会は、これくらいの時間で収まっている感じです。
論文の紹介の仕方というのはすごく重要で、プレゼンテーションの上手い先生の発表は飽きることなく聞いていられるのです・
一方でプレゼンテーションの下手な先生が担当するとなると、開始5分位でどうにもたまらなく眠くなってしまうんです。
ですから発表の準備にあたっては、聴く人の立場に立って資料を作成することが必要です。
抄読会でのわかりやすい発表については、下記でご紹介しています。
病院によって抄読会への熱の入り方は異なる
私も今までたくさんの抄読会に出席してきました。
どれほど熱心にやっているかということについては、病院や診療科ごとに温度差がありますね。
大学病院では熱心である
抄読会が1番熱心に行われているのは、やはり大学病院でしょうか。
大学病院は研究や教育の場所でもありますし、医師にも比較的自由な時間が与えられています。
抄読会に出席したり、その準備を入念に行うにも余裕があります。
大学病院で行われる抄読会では、医局員が何十人も集まり、論文を紹介し理解を深めていくことになります。
そこではどのような論文を選んだか、プレゼンテーションの方法が適切かどうかなど、暗黙のうちにみられています。
研修医にとってはすごく緊張することでしょう。
一般病院では形式的なものである
一方で市中病院の場合には、臨床業務だけで手一杯で発表の準備まで時間が回らないことが多いかと思います。
抄読会で素晴らしい発表をしたからといって給料が上がるわけではありませんし、出世できるわけでもありません。患者さんから評価されるわけではありません。
もちろん下手くそな抄読会をしたからといって、「つまんねぇな〜」と思われるだけで、それ以上でもそれ以下でもありません。
したがって抄読会にそこまで熱が入っているわけではありません。
論文の紹介といってもパワーポイントを使って発表の準備をするわけでもなく、ただ印刷した論文を配るだけの場合もあります。
診療科によっては途中でスヤスヤと寝ている人もいたりして、論文の紹介が終わってからの活発な議論が行われる事はあまりありません。
ただの形式的な儀式になっている場合もあったりして、なんだかなぁ〜と思ったりもするわけです。
まとめ
抄読会は最新の知見について理解を深めることができ、発表者にとってはプレゼンテーションの練習の場となります。
そして重要性は位置付けは病院や診療科によって大きく異なっています。
本当の意味でまともに抄読会が行われているのは、せいぜい大学病院くらいなものでしょうか。
コメントを残す