ある程度の規模の総合病院には、病理診断科と呼ばれる診療科が設置してありますね。
そこに在籍する病理医の主な仕事は、簡単に言うとがん細胞を顕微鏡で見ることです。
そして病理医は、病院の中で働く医師として、唯一解剖を行う診療科でもあります。
病理医を題材にした漫画で一番有名なのは、フラジャイルと呼ばれる漫画ですね。
これはTOKIOの長瀬智也でドラマ化もされているのです。
病理医の日々の仕事
病理診断医の仕事って、すごく重要なんです。
たとえば胃を見るための内視鏡のカメラをやって、胃の中にある怪しい病変を取ってきます。
そしてその病変が本当に悪いものなのか、顕微鏡で観察することによってがんであるかどうかを見分けるのは病理医の仕事です。
また手術で摘出したできものを顕微鏡で見て、それが悪いものなのかそうでないのか、悪いものだとすると、どのような種類のがんになるのか、ということを調べるのも病理医の仕事です。
手術で摘出された腎臓や肝臓を切り込むのは病理医の役割であることが多いですが、それらを顕微鏡で見やすいようにホルマリンで固定し、薄くスライスし、必要があれば見やすいように染色するという行為は、おもに専門の技師さんが代わりに行ってくれます。
ですから理部門では医師だけでなく、ホルマリンを使ったり、解剖をアシストしてくれる技師さんのうように、多くの人が働いていることになりますね。
病理医は、いろんな診療科から出される検体を顕微鏡で観察しているわけですが、その他に重大な仕事として、死因を解明するために院内で死亡した患者さんの解剖という仕事があります。
ちなみにこの病理部門で非常に有名な医師がいます。Twitterのフォロワーが9万人なんて・・・すごい
病理解剖を行うのも病理医の重要な仕事である
医者の中でもご遺体を解剖すると言う仕事は限られていて、大学の中の病理学や法医学講座に所属する医師くらいしか解剖は基本的に行いません。
病院で働いている一般の勤務医が、遺体の解剖を行うことはまずないと言って良いでしょう。
病理解剖の目的は、病院の中で死亡した患者の死因を究明するために行われます。
病院の中なら死因なんてわかっているもんじゃないか、と思われるかもしれませんが、最終的に直接的な死亡の原因がわからないこともよくあります。
例えば癌で治療中の患者が、突然亡くなったとすれば、当然がん以外の死亡原因を考える必要があります。
採血や画像検査だけではわからないことも多く、死亡の原因を特定するために病理解剖が行われることがあります。
たいていは患者さんが死亡した際に、主治医から「病理解剖をしても良いでしょうか」と言うような話が行われます。
患者さん家族の心理としては、最愛の家族が亡くなった後に家族を切り刻むと言うのはどこか残酷ですし、この時点で断られることも多いですね。
有名な医療ドラマである白い巨塔でも、病理解剖を巡って家族、医師との間で1シーンがありました。
病理解剖の所見は動かぬ事実ですから、医療裁判でも重要な意味を持ってきます。
病理解剖の実際ながれ
実際の解剖は死後おおよそ24時間以内に行われることが多いですね。
死亡したのが夜間であれば、翌日の早朝から解剖が行えるように、当番の病理医にあらかじめ連絡が行くようになっています。
また休日の前や休日に死亡したような場合には、即日解剖が行われるように、これまた当番の病理医に連絡がつくようになっています。
したがって、入院患者を診療しない病理医であっても、このような解剖に呼ばれる可能性がありあすから、決して土日は完全オフというわけでもないようです。
解剖は厳粛な雰囲気の中で行われます。
体の表面に異常がないかどうかを確認した後、病理医によって体にメスが入れられ、各臓器が摘出されます。
解剖の時間は、長くても2時間くらいでしょうか。手慣れた病理医によってスムーズに臓器が解体されていきます。
それぞれの臓器は肉眼的な所見が観察された後、ホルマリンの入ったバケツの中に入れられ、臓器全体に染み渡るまで数日間ほど放置されます。
その後ホルマリンの中に浸された臓器が出され、顕微鏡で観察しやすいように切り出されて、最終的に顕微鏡で観察されるのです。
顕微鏡で観察することによって、全ての死因が明らかになるわけではありません。
しかし複数の病理医が観察することにより、可能な限り患者さんが亡くなった原因を明らかにしていくのです。
病理解剖の意義
病理解剖の意義は、大きく考えれば医学の発展のため、ということになるでしょう。
まだ医学がすごく発達していなかった時代には、病理解剖から得られた知見によって、多くの医学的な発見がありました。
現代においても死因が不明の患者さんにおいて解剖を行うことで、真実を突き止めることが可能になります。
病理解剖は今後もなくなっていくことはないでしょう。
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