研修医時代のマッチングは、すごく大切で、貴重な機会です。
面接試験なんて人生でそう何度もあるわけではありません。
それに就職する研修病院によって人生が変わってしまうかもしれません。
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マッチング試験の実際
まずは、大学病院と市中病院でのマッチング試験の概要について、ご紹介しましょう。
大学病院での筆記試験・面接
大学病院では筆記、面接試験がありました。
筆記試験は大学病院だけあって、医師国家試験のような体裁でした。忙しい臨床合間を塗って、誰が作成しているのでしょう?
試験のある夏頃は、国家試験の勉強に本格的に取り組み始めた頃でしょうから、問題の難易度は全体的に高いです。
私も試験問題を解いてて、わからない部分がたくさんありました。
大学病院は、東大や東京医科歯科、慶応など、首都圏の一部の大学病院を除いて今や人手不足ですから、筆記試験の出来栄えだけで、不合格にするということはないと思います。
面接試験では臨床実習でお世話になった病院のスタッフの方が面接官でした。
面接は、あらかじめ指定されていると思われる質問事項一覧の中から2,3ピックアップして、質問されているようでした。
質問内容は、安楽死、尊厳死、臓器移植など極めて普通のことです。マッチング対策本の1ページ目に書かれているようなものでした。
見た事のない受験生(=学外)の方が多く、印象的でした。
面接官からすると、貴重な休日を潰して受験生の面接をしているわけですから、大学病院であれば、奇抜なことは聞いてこないでしょう。
面接官としても、自分の色を出したような質問はしたくないはずです。
それに休日にイヤイヤながらやっている仕事で、イレギュラーなことをされても困るでしょうし。
大学病院で働いてみてわかったことですが、このような面接官などには基本的に代休が用意されていないのです。
市中病院の筆記試験・小論文・面接
市中病院の面接は小論文、筆記、面接試験がありました。
人数が少ないせいか大学病院とは異なり、試験終了までどことなく引き締まった雰囲気がありました。
筆記試験は英語の試験でした。レベルはレンター試験と同じくらいだったと思います。
実際に働き始めてみると分かりますが、忙しい日々の診療の中で、試験問題を作成し、採点するというのは、すごい負担です。
ただでさえ日々の診療に加えて、書類仕事、学会発表準備等々の業務があるわけですから、そこまで力を入れて作成された問題ではない、と推測されます。
小論文は1時間の制限時間で与えられたテーマに沿って、記述するというものでした。
医療倫理的に奇抜なことが書いてなければ、何を書いても良いものと思います。
自分が医者を何年かやって思うのは、やはりそういう「普通の医者」と一緒に働きたいですね。
面接試験は張りつめた雰囲気ではないものの、決して和やかでもありませんでした。矢継ぎ早に質問され、7割程度の事しか話せませんでした。
この辺りは流れ作業の大学病院ではなく、ちゃんと人を見て試験をしている印象です。
大学病院にするか市中病院にするかで迷う
大学病院にするか市中病院にするか、最終登録の期限2日前まで迷っていました。
正直どちらでも良かったのですが、やはり大学病院での研修については良いイメージがなかったので、市中病院での研修を選択しました。
周囲を見ていますと、毎年フルマッチしているような人気病院を第1志望にしているような場合には、いかに学校の成績がすばらしくとも、簡単にアンマッチになってしまうようです。
逆に大学時代の成績は芳しくなくとも、日本で5本の指に入るようなブランド病院にマッチしている人もいます。
このあたりは病院側の採用基準の不透明さを反映しているようで、成績が良いだけでは無事に採用してもらえるとは限らず、相当程度病院側の顔色を窺うことが求められているようです。
ブランド病院ともなるとある程度研修医を選べる立場になるでしょうから、病院のカラーと照らし合わせて、適切な研修医だけを合格させているのでしょうか。
意外と落ちる、成績が良くても落ちる、大学の偏差値が高くても落ちる、を実感したマッチング試験でした。
最終的な結果
私は最終的に市中病院を選択したわけですが、結果としては12名の定員に対して応募は12名、採用も12名となりました。
一方で大学病院は募集人数に比較して採用された研修医はかなり少ない結果となりました。
一部の大学を除いては大学病院にマッチするのはごく簡単、ほとんどハードルがないでしょう。
とりあえず大学病院を受験しておいて、希望病院の一番下に大学病院を書いておくのが、滑り止めの点でも良いのではないでしょうか。
また大学病院は試験や面接が標準的であり、良い練習の場にもなるかと思います。
マッチングは将来の進路を考える上で良い機会になった
このマッチング試験は、将来のキャリアを考える上で非常に良い機会になったと思います。
ブランド病院を駆け上ってできる医師になるのも良し、大学病院でアカデミックポストを狙うも良し、適当な市中病院で臨床経験を積みつつ親の医院を継ぐも良し。
医者の生き方の幅も広くなっていますから、それだけのぶんは研修医にとっても選択肢があっても良いのだと思います。
医局入局一択の時代から時間は進み、新臨床研修制度が始まって多様な選択肢が生まれた今の時代は恵まれているのでしょうか。
研修医の先生方には将来の自分の医師像も考えながら、最適な研修病院を選択してほしいものです。
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