医学部の解剖学実習で学ぶこと。最も大変で医学部らしい授業である




医学部授業の一大イベントと言えば、やはり解剖学実習ということになると思います。

これは実際にご遺体を目の前にして、メスやハサミを使って解剖を行いながら、人体の構造について学習を行うという授業です。

実際の解剖学実習では、どのようなことが行われているのでしょうか。振り返ってみていきたいと思います。

解剖学実習の位置付け

解剖学実習は、主に医学部の2年目とか3年目とかに行われます。ちょうど医学部の専門の授業が始まった頃に行われるわけです。

人体の構造理解しておくというのは、医者はもちろん、看護師や薬剤師、理学療法師などの医療従事者にとっては必要不可欠な知識です。

野球選手が野球のルールを覚えるのと同様に、医者は人体の解剖学について学ぶ必要があります。

テレビに出ているチャラチャラした医者であっても、一般の人が知らないような筋肉や骨の名前というのは、医学部を卒業していれば必ずや覚えている事でしょう。

解剖学実習の概要

解剖学実習では、人体の解剖学的な構造を、ご遺体を前にしながら学んでいきます。

医学部の学生は1グループ3-5人に分けられ、1グループごとに1ご遺体が割り当てられます。

解剖学実習の期間はだいたい3-6ヶ月、1日あたり数時間というスケジュールで行われていきます。

今日はこの筋肉とこの神経、というように毎日のノルマが決められていて、そのノルマを達成できるように少しずつ解剖していきます。

グループの分け方

さて、上の方でグループごとに解剖を行うと書きましたが、このグループ分けというのがすごく重要になってくるわけですね。

真面目な学生ばかりが集まれば、スムーズに解剖は進んでいきますし、不真面目な学生ばかりだと延々として進まない、ということも十分あり得ます。

中には無断欠席するような学生もいますから、非常に困った事態になるわけです。

この解剖学実習で苦楽を共にして、男女の距離が近くなるという事例もありました。

解剖学実習というのは、医学的な意味でもプライベートの意味でも、すごく思い出のある授業なのです。

解剖学実習の心構え

解剖させていただくご遺体は、献体といってご厚意により大学や研究機関に死後保存されているご遺体を用います。

一番最初にご遺体に対面するときは、誰しもが緊張するわけです。

いくら死後時間が経っているとはいっても、腐敗しないようにホルマリン液で固定され、ご遺体は非常に綺麗です。

そこに、ろくに遺体を見たこともないような学生が対面するわけですから、衝撃は想像できるかと思います。

解剖学実習に臨むにあたっての心構えは、ご遺体に敬意と感謝を持って臨むのはもちろんです。

ご遺体で何かふざけるとか、嘲笑するとか、そういうことができる雰囲気でもないですし、そういうことをする学生もいないわけです。

ただ、長い解剖実習ですから、ご遺体を前にして恋愛の話をしたり、クラブ活動の話をしたり、ということは往往にしてありました。

医師になって働いたときに社会に十分自分の知識と経験を還元できるように、しっかりと学ばせていただく、ということが重要なのではないかと思います。

解剖学実習で実際に行うこと

さて少し早く話がそれてしまいましたが、解剖学実習では、人体の解剖学的な構造をご遺体を前にしながら学んでいきます。

筋肉の同定

重要な項目の1つが筋肉です。筋肉は人間が動くために必要な組織なわけです。

解剖学実習では、脂肪や皮下組織をメスで取り除きながら、目的とする筋肉を同定していきます。

例えば右を見る、左を見る、アクセルペダルを踏む、これらの行為は全て筋肉の働きによって成り立っています。

Wikipediaによると、人間には600種類ほどの筋肉があるとされていますが、それらの筋肉を全て暗記するのはもちろん困難ですし、あまり臨床の現場では触れらない筋肉もあります。

ですから、せいぜい覚える筋肉の名称というのは、100-200個くらいでしょうか。

筋肉の名前を覚えるだけならば、そうそう難しいことでは無いのですが、実際の試験では、筋肉の両端がどこについているかとか、その筋肉の働きまでも覚えなければなりません。

ですから、筋肉だけでも膨大な量を暗記する必要があるのです。

神経の同定

次に大切なのが神経です。

神経というのは、脳から発せられた命令を体の隅々にまで行渡させる、ケーブルのような役割をしています。

この神経の名称と働きについても覚える必要があるわけです。

神経は腕や足の太い神経であってもすぐ、せいぜい直径は5-10ミリ位です。ですから解剖学実習では、神経を同定するのが1番難しいかもしれません。

神経と思っていたら筋肉の腱だったり、全く関係のない組織だったりということが結構あります。

しかし医者になって手術を行い、もし神経を傷つけてしまったり、間違って切断してしまったりしたら、即医療裁判ものですから、神経の走行と働きについてはしっかりと頭にいれておく必要があります。

この他、各臓器の名称やおおまかな働きについても覚える必要がありますから、覚える項目という点では、おそらく医学部の授業の中でも最も多くなるかと思います。

臓器の解剖

おおまかな臓器の解剖についても、この解剖学実習で学ぶことが多いかと思います。

教科書で学ぶことはあっても、肝臓や心臓などの臓器を実際に目にし、そして好きなように切ることができるのも、解剖学実習の貴重な機会です。

解剖学の試験

このような実習の中間や、実習の終わりには、到達度はかるための試験が課されることになります。

筋肉や神経の名称を問うペーパーテストもあれば、実際のご遺体のに貼り付けられた矢印が、なんという筋肉の名称を指しているのか、を答える同定試験もあります。

上に書いた通り覚える項目は膨大で、1000ページ近くの教科書を隅から隅まで覚えるくらいの意気込みがないと試験にはパスできません。

実際には重要な項目というのはかなり絞られているので、1から10まで覚える必要はないのですが、それくらいの意気込みが必要ということです。

解剖学実習は貴重な機会である

さて、解剖学実習は法医学や病理学に進まない限りは、最初で最後の解剖の機会になるかと思います。

実習を終えてからは、実際にヒトの体にメスを入れるという機会はもうないわけです。

それだけ貴重な機会であるのですが、残念ながら学んでいるときはそれを実感することができないわけですね・・・。

外科医であれば手術の際に体の臓器に触れることはできるのですが、好き勝手に緊張感なく臓器を触るということは当然できないですね。

まとめ

解剖学実習の概要などについて書いてきました。

解剖学という分野は医学を学ぶ学生にとっては、まさに土台なとなる学問です。

ですから学生時代にはしっかりと学んでおきたいものです。

解剖学- おすすめ教科書

2017.12.15

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