医師が在籍する大学院の生活の実際について

大学病院の医局に入局した場合には、臨床研修を終えて数年たつと、大学院に入学することになります。

この大学院では、博士論文を執筆するために、研究を行います。

研究テーマは指導教官から与えられる

ほとんどの場合は自分の専門分野に関連のある領域の基礎研究を行います。

例えば循環器内科であれば、血圧を下げる新しいメカニズムの解明や、消化器内科であれば胃潰瘍を発生のメカニズム等を研究することになります。

このようなテーマは、指導教官と呼ばれる先輩の医者から与えられることがほとんどです。医者になって数年のうちに、何が今ホットなテーマなのか、何が重要なのかということを自ら考えるのは結構難しいものです。

したがってほとんどの大学院生は、指導教官や教授からテーマを与えられ、それについて研究を開始することになります。

研究は4年間が基本

大学院4年間がいわゆる研究する期間になりますが、4年間365日のあいだ研究に費やせるわけではありません。ほとんどの先生方は日々の日常業務をほとんど完全にこなしながら、わずかな時間を見つけては研究を行い論文を執筆していくことになります。

一部の診療科では、大学院生の1年目2年目は一般病院で通常の勤務を行い、残りの2年間を大学で過ごすと言うようなカリキュラムも存在しています。

人手が足りているとか、研究が盛んな教室では1日中を自分の研究時間に充てることができますが、そうでなければ朝の8時から夕方の5時までは通常の臨床業務を行い、5時から夜中遅くまで基礎研究に従事するというような現実があります。

この臨床業務と研究を同時に行うのはなかなか辛くて、1日中働いて疲れた体にも関わらず、そこから試験管を振ったりマウスに薬を注射したりと言う実験が始まります。

頭と手足を働かせて実験をしたとしても、良い結果が得られるわけではなく、試行錯誤を繰り返しながら何とか研究を形にしていきます。

臨床研究はいろいろと難しい

臨床研究と呼ばれる患者さんを相手にした研究を行うこともあります。ただし大学院の研究テーマとしてはメジャーではありません。

というのも患者さんを相手にして研究を行う場合、倫理的な問題から病院の中の倫理審査委員会の承認を得ることが必要になります。そしてこの承認を得る過程というのが結構めんどくさいのです。

また病院の中で行う臨床研究と言うのは、1日や2日で結果が出るものではありません。

あるがんの治療成績の場合には、治療してから5年くらいは経過を見ないと何とも言えないことが多いものです。その後データをまとめて論文を書くとなると、大学院生の家の4年間では、とても処理しきれない研究テーマになってしまいます。

ゆえに大学院の間の研究と言うのは、データの出しやすい基礎研究が行われることになります。

病院側からすると研究を進めるうえで良いカモ

病院側としてはこの大学院生は非常に良い駒になります。研究を進めるために必要なのは、よく聞いたことのあるヒト・モノ・カネです。

病院の仕事をやってくれるのはもちろん、研究に関しても仕事をしてもらい、さらに授業料と言う形で年額約50万円を大学に収めてくれるのですから。さらに博士論文まで執筆してもらえれば教室の業績になり言う言葉もありません。

大学院生にしてみれば、この現場はあまりにも酷すぎます。私自身も大学院生の1年目は、特に授業を受けた経験もないのに、約50万円を大学に収めていました。

一方で大学院を卒業したからと言って、特に目に見えるリターンはありません。

学位って役に立つの?

この博士課程を終えて得られる学位というものは、臨床においてはほとんど評価されていないのが現状です。

大学院を卒業したからと言って、優先して雇ってくれるわけでは無いですし、もちろん給料が増えるわけでもありません。よく言われるのは足の裏についた米粒みたいなものと言うもので、とらなければとらないといけないと思う一方で、取ってみたところで何も役に立たないと言うものです。

したがって上記のような現実から、医学部を卒業後大学院に入学する医者はどんどん減少しており、大学側としては何とかたくさんの若い医者を大学院に入れたいようです。

しかしながら実際に大学院に入った先生方も、多くの不満を述べられています。

論文を執筆するために準備しておきたいもの

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先生まだ医局辞めてないんですか?

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