医師が在籍する大学院の生活の実際について。ほとんどの医師にとってはつらい




大学病院の医局に入局した場合には、臨床研修を終えて数年たつと大学院に入学して研究する場合が多いでしょうか。

そんな大学院生活では、博士論文を執筆するために研究を行います。

ただし医師として働きながら研究もする必要があるわけですから、多忙を極めるのです。

医師の大学院生活についてご紹介しましょう。

大学院とは何か

医学部・医師にとっての大学院は何かと申しますと、医学博士を取得するために通う組織ということになります。

どこの大学医学部にも大学院が設置されており、医局に所属する医師の中で大学院進学を希望する医師は大学院に進むことになります。

もちろん大学院に進まない医師も一定数いますが、それなりに研究が盛んな大学病院であれば、おおよそ7-8割くらいの医局員は大学院に進学するでしょうか。

医局によっては、大学院に進学することが必須とされているところもあるようです、

大学院在籍中に単位を取得し、論文を仕上げることで晴れて医学博士の称号を手にすることができるのです。

研究は4年間が基本

大学院では4年間がいわゆる研究する期間になりますが、4年間365日のあいだ、全ての時間を研究に費やせるわけではありません。

ほとんどの医師は大学院生として病院の業務を完全にこなしながら、わずかな時間を見つけては研究を行い論文を執筆していくことになります。

この場合は朝の8時から夕方の5時までは通常の臨床業務を行い5時から夜中遅くまで基礎研究に従事するというような現実があります。

臨床業務と研究を同時に行うのはなかなか辛くて、1日中働いて疲れた体にも関わらず、そこから試験管を振ったりマウスに薬を注射したりと言う実験が始まります。

頭と手足を働かせて実験をしたとしても、良い結果が得られるわけではなく、試行錯誤を繰り返しながら何とか研究を形にしていきます。

一部の診療科では、大学院生の1年目2年目は一般病院で通常の勤務を行い、残りの2年間を大学で過ごすカリキュラムも存在しています。

このような場合はもっと悲惨で、4年間の研究期間のうち2年間は研究が全くできないわけですから、実質的な研究期間が2年しかありません。

一方で人手が足りているとか、研究が盛んな教室では、1日中を自分の研究時間に充てることができます。

これはかなり恵まれた環境であるといってよいでしょうね。

研究の内容

研究テーマは指導教官から与えられる

研究する内容について、ほとんどの場合は自分の専門分野に関連のある領域の基礎研究を行います。

例えば循環器内科であれば、血圧を下げる新しいメカニズムの解明や、消化器内科であれば胃潰瘍を発生のメカニズム等を研究することになります。

医者になって数年のうちに、何が今ホットなテーマなのか、何が重要なのかということを自ら考えるのは結構難しいものです。

したがってほとんどの大学院生は、指導教官や教授からテーマを与えられ、それについて研究を開始することになります。

基礎研究が主流

基礎研究とは研究室で行われる医学研究のことを指します。細胞を使って新しい薬の開発のきっかけとなるようなメカニズムを解明したり、病気の発症を解明したりする研究をさします。

もちろん使用するのは細胞だけではなく、マウスなどの小動物を扱うこともあります。いずれも研究室内で完結する研究になります。

医者が在籍する大学院における研究というのは、90パーセント以上が基礎研究と言っても良いでしょう。

研究室に所属し基礎研究を行うことによって論文を書き、卒業していくというパターンが王道になります。

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臨床研究はいろいろと難しい

臨床研究と呼ばれる患者さんを相手にした研究を行うこともあります。ただし大学院の研究テーマとしてはメジャーではありません。

患者さんを相手にして研究を行う場合、倫理的な問題から病院の中の倫理審査委員会の承認を得ることが必要になります。そしてこの承認を得る過程というのが結構めんどくさいのです。

病院によっては、こういう研究をしたいという申請をしてから、その申請が承認されるまでに半年程度の時間が必要な場合があります。

また病院の中で行う臨床研究と言うのは、1日や2日で結果が出るものではありません。がんの治療成績の場合には、治療してから5年くらいは経過を見ないと何とも言えないことが多いものです。

その後データをまとめて論文を書くとなると、大学院生の4年間では、とても処理しきれない研究テーマになってしまいます。

ゆえに大学院の研究と言うのは、データの出しやすい基礎研究が行われることになります。

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大学院の問題点

医学部における大学院制度なのですが、問題点はたくさんあります。

大学院時代は忙しい

上にも書いた通り、大学院時代の生活は多忙を極めます。

ほとんどの医局では臨床医として病院の仕事をちゃんとやるのはもちろん、病院業務が終わった段階から研究に関する仕事をする必要があります。

結局のところ大学院生といっても研究だけに専念できるわけではなく、臨床の片手間に研究をする必要があるのです。

お金がかかる

さらに授業料として年額約50万円を大学に支払う必要があります。

ただでさえ大学院時代は臨床業務が制限を受け、収入も減りますから、そのうえ学費の形で支払いが増えるのは残念なことです。

私自身も大学院生の1年目は、特に授業を受けた経験もないのに、約50万円を大学に収めていました。

大学院を卒業した時のメリットがあまりない

この博士課程を終えて得られる学位というものは、臨床においてはほとんど評価されていないのが現状です。

大学院を卒業したからと言って、優先して雇ってくれるわけでは無いですし、もちろん給料が増えるわけでもありません

大学院で研究することによって得られる博士号は、足の裏についた米粒みたいなものと言われます。

これはとらなければといけないと思う一方で、取ってみたところで何も役に立たないと言うものです。

したがって上記のような現実から、医学部を卒業後大学院に入学する医者はどんどん減少しており、大学側としては何とかたくさんの若い医者を大学院に入れたいようです。

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