【医師の視点】医師が行う留学についての概要。どのようなルートがあるか解説

医局に入局し大学院に進学、卒業すると、海外の大学や病院、研究所に留学する機会を得ることがあります。

日本にいると、毎日がルーチンワークの繰り返しで退屈になってしまうのです。

また日本における基礎研究の分野では、会議や書類仕事など研究以外の雑用に追われ、研究に集中しにくい、論文を書きにくい環境といって良いでしょう。

新しい知識や経験を得たり、業績をあげたりするために、医師にとっての海外留学は非常に大切です。

基礎研究で留学する

日本において、医師が留学するということを考える時、98%くらいはこのパターンです。

大学院を卒業後も基礎研究を続ける場合、研究をより発展させるために、海外の大学や研究所に留学することがあります。

留学するのはほとんどアメリカ

8割以上の医師は、医学の中心地であるアメリカに留学することになります。

ビザ等の関係で、留学期間はおよそ2年が一般的ですが、研究の進み具合によっては長くなったりもします。

アメリカのどこに留学するのかに関してはあまり選択肢がなく、たいていは医局とつながりのある大学など、医局の上層部の意向で決まってしまうようです。

アメリカという国は、いろんな都市に世界レベルの大学があります。ですから留学する場所というのも、アメリカ全土に渡っているようです。

中には学会で見かけた海外の教授に声をかけて、、なんていう留学の手法もあるようですが、医局のバックアップのない留学は少々危険です。

留学した場合の給料を誰が支給してくれるか、留学から戻ったときにポジションはあるのかなど、弱い存在の人間には後ろ盾が必要なのです。

たまにアメリカ以外もあり

もちろんアメリカ以外にも優れた研究を行なっている大学はありますから、ヨーロッパの国々に留学する先生もおられます。

教授の経歴なんかをパラパラみていると、フランスやイギリスなど留学先は多彩な印象です。

ただ今の時代は、基礎研究に関してはよりアメリカ中心になっているのか、ほとんどの先生はアメリカに留学している印象です。

留学する意義とは、論文を書くことである

アメリカに留学する意義は、これはもう論文を書くということに尽きます。論文を書いて業績を挙げなければ、留学した意味がありません。

留学して研究がうまく進むかどうかは、運やタイミングに左右される部分も大きいようです。

留学して帰国する前に一流誌に論文を多数掲載できる先生もいれば、大した成果を挙げられずに帰国しなければならない先生もいます。

この辺りは実力よりも運の要素が大きいように思います。

どうして研究力はアメリカの方が高いのか

多くの研究分野では、資金や人材の点において日本の研究室よりもアメリカの研究室の方が優れています。

せいぜい日本で研究がリードしている分野は、ノーベル賞をとったiPS細胞の分野とか、東京大学や京都大学の一部の研究室に限られるかと思います。

このような物量の差が、結果的に研究成果の点でも上回っています。つまり研究室から発表される論文の数や質が、日本のそれよりも高い、ということになります。

【勤務医の視点】病院や医学部におけるドイツ語の位置づけ。もはや絶滅危惧種

2018年3月18日

臨床業務で留学する

臨床留学とは海外の病院で医師として働くことですね。

こちらの方は基礎研究で留学するよりも相当ハードルが高くなっています。

なぜ海外に臨床留学するのか

日本人にとって最も身近なアメリカを例に考えてみます。

患者が享受する医療レベルで考えると、保険制度の違いもありますからどちらが良い・悪いとも言い難いのが現実です。

アメリカの過疎地域で享受できる医療よりは、日本の都市部の病院で受けれる医療の方が質は良いことでしょう。

しかし内科・外科を問わず、業績を積む、技術を積むという点ではアメリカの方が1段も2段も上です。特に論文を書く点では、アメリカの足元にも及びません。

アメリカは良くも悪くも医療に合理的な考え方が持ち込まれており、業務分担や研究にかけられる研究費など、論文を書くための研究環境はアメリカに軍配があがります。

また外科手技に関しても、胃がんや大腸がんなど、一般的な外科手技に関してはあまり差がないようですが、症例数が異なる移植領域などは、圧倒的にアメリカの外科医の方が上手なようです。

臨床留学への道は険しい

例えばアメリカで臨床業務をするためには、アメリカの医師国家試験(USMLE, ECFMG) などパスしないといけません。

これらの試験は所詮ペーパーテストですから、日本の医学部に入学する学力があれば、そんなに難しい話ではありません。

ただ実際に働くとなるとハードルはいくつもあります。

まずはアメリカの大学で雇ってくれる病院を探す必要があるのです。そのためにはいくつもの病院の面接を受ける必要があります。

そして大多数の日本人にとっては、読み書きの英語の試験問題は努力すれば超えられる程度としても、コミュニケーションとしての英語が高いハードルです。

日本語をしらないアメリカ人が、日本の病院で高齢者とコミュニケーションをとるには、相当程度日本語に習熟する必要がありますね。

それと同じくらいの英語の勉強も必要なのです。

アメリカ以外の国に留学はできるのか

アメリカ以外への国への臨床留学を考えた場合も、その門戸はあまり広くないでしょう。

言語の問題、医師免許の問題など様々あり、状況は米国と同じです。

またそれだけの努力をしたところで、本当にそれに見合うだけのリターンがあるかどうかも怪しいところです。

いずれにしても臨床留学は基礎研究での留学よりも数段ハードルが高いものであると心得るべきでしょう。

留学生活はお金がかかる

留学に行った先生方にお話をお聞きしてみると、海外留学もなかなか大変なようです。

大都市で治安の良いところに住もうとすると、生活費は日本の倍以上掛かり、家族で住むにはあまりにもコストが高すぎるとの話です。

給料という点については、各人事情が異なるようです。

運良く奨学金を得て留学する先生や、留学先からちゃんとしたポストを与えられて、ある程度の収入がある先生もいれば、不安定な身分で給料がすごく少ない、という先生もいます。

基本は留学先の職場から日本と同等の給料を得るのは難しいですから、一説には1000万円から2000万円の蓄えがあって、初めて安心して留学できると言うような話もささやかれています。

海外赴任手当がある、一般企業の海外転勤と比べると、医師の留学というのは随分心もとないですね。

留学している医師の奥さんは楽しそう

最近結婚した医者の奥さんは、日本でのお仕事を何の躊躇もなくやめて、医師である夫のアメリカ留学についていたようです。

確かに海外で働かずとも生活を送れるなんて事はなかなかないですからね。

また小さい子供がいれば、2年間英語を話す環境に触れさせることができ、これ以上にない英才教育になるかもしれません.

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