さて2018年も毎年恒例の、医師国家試験の合格率が発表されました。
大学ごと、そして現役生or既卒などといった枠組みで発表される医師国家試験の合格率なのですが、その背景には色々な事情が反映されているようなんです。
そのことに関して考えたことを書いていきたいと思います
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なぜ医師国家試験の合格率が重要か

まず原点に立ち戻って、なぜ医師国家試験の合格率が重要かということを考えていきましょう。
学生にとっては、国家試験の合格率の観点から、自分の大学がどの位置にあるのかということを把握しておく事は1つの目安になるでしょう。
合格率100%の大学に在籍しているのであれば、先輩と同じように今の勉強を続けていれば良いと言うことになるでしょう。
同じ道を辿れば良いのです。
一方で合格率が90%を切っているような大学に在籍している場合には、先輩と同じような勉強していれば、10人に1人が落ちてしまうということになります。
1/10の確率で国家試験に不合格になり、1年間を棒に振ってしまうのは、ちょっと勿体無いですよね。
長い人生で見れば大したことはないのかもしれませんが…。
とにかく自分の勉強方法に気を使いつつ、医師国家試験合格に向けて勉強していく必要があると言うわけです。
大学側からみた医師国家試験の合格率とは
一方で大学側にとっても、この合格率というの非常に重要です。
特に私立大学の場合には、医師国家試験の合格率というものが、大学の価値を示す1つのデータになるわけです。
その大学でどんなに素晴らしい研究成果をあげたり、最先端の医療を提供していたとしても、その大学の医師国家試験の合格率が例えば50%と言うことであれば、そこに入学する学生はいないでしょうね。
医学部に入る価値というのは医師になることですから、当然医師国家試験に合格する必要があるわけです。
ですから医師国家試験の合格率と言うのは、子供を医学部に入れようと考えている父兄にとって、大学の価値を示す極めて重要な指標になるわけです
医師国家試験の合格率の現状
参考までに2018年に発表された医師国家試験の合格率を見ていきます。全体としての合格率は90.1%でした。

医師国家試験は簡単だ、誰でも受かる、なんて言われます。
しかし受験エリートの医学部合格者が6年みっちり勉強してきて10人に1人は不合格になる試験ですから、あながち簡単な試験ではない、という感想をやはり持ちます。
自治医大と防衛医大の合格率の高さ
上記2大学の合格率の高さは際立っています。
自治医大は卒業語の勤務地が拘束される代わりに、在学中の学費の負担が軽減されています。
また防衛医大の場合は、在学中の身分が防衛省の職員ということですから、こちらも在学中の経済的負担がかなり軽減されます。
大学(校)側が学費を負担する目的別医科大学(校)の一つである。
入学した学生は定員外の防衛省職員・自衛隊員(特別職国家公務員)となり、大学校の入学金と授業料は無料で、医学科と看護学科自衛官コースの場合、毎月の学生手当(給与)と年2回の期末手当(2013年時点の初任給は月額108,300円)、および被服が支給される。
2018年度は防衛医大の現役生合格率が94.8%と、驚くような低さでしたが、例年はこの2つの大学の医師国家試験の合格率は非常に高くなっていますね。
このような経済的な優遇制度の背景に、見えないプレッシャーがーあるのでしょうか。
既卒生の合格率は低い
また目を引くのが、すでに医学部を卒業した既卒生の合格率の低さです。
例年の合格率を見ていくとたいていどこの大学でも、一旦医学部を卒業した学生(というか社会人)の合格率は、50%から70%位になっています。
既卒生にとってはこの医師国家試験というのは、結構シビアな試験になっているということです。
一回でも国家試験に落ちてしまうと、来年なら簡単に受かるなんていう保証はないということですね。
医学部を卒業しても国家試験に受からなければ、医学部を卒業したただの人ですから、これは結構まずいです。
上にも書いた通り、医学部に入ること=医者になること=医師国家試験に合格することです。
このような現状考えると決して医師国家試験が簡単であるとか、医学部に入れば誰でも合格できるということではないことを痛感させられます。
入学時の偏差値と医師国家試験の合格率に実は相関があった?
それでは、入学次の偏差値と、医師国家試験の合格率には関連があるのでしょうか?
下のグラフは、国公立大学+私立大学医学部の2次試験の偏差値を横軸に、縦軸に2018年度の現役生のみの医師国家試験合格率をプロットしたものです。

ちょうど偏差値74のところにきている黒丸は東京大学を示しています(合格率は93.3%)。順に慶應大学、京都大学が続きます。
一番偏差値の低い62のところには、帝京大学医学部、埼玉医科大学の国家試験合格率がプロットされています。
直線が傾いて表示されている通り、実は分散分析で統計解析してみると、入学時の偏差値と国家試験の合格率には相関がある、との結果になりました。
確かに偏差値は同じでも、個々の大学によって合格率はかなり幅がありますが、全体としてみると偏差値と合格率にはなだらかな相関があるように思えます。
国公立大学と私立大学内の解析では、私立大学医学部で強い相関があり
次に国公立大学のみで同様のグラフを作成してみます。

こちらは先ほどよりも直線は緩やかになっています。解析では入学時の偏差値と合格率には相関がないことがわかります。
一方で私立大学医学部では、面白い結果が出ています。

直線はより急峻になっており、入学時の医学部の偏差値と医師国家試験の合格率には強い相関があることがみてとれます。
偏差値が高い順に慶應大学、東京慈恵会医科大学、大阪医科大学なのですが、いずれも医師国家試験の合格率は高位に位置しています。
一方で偏差値64以下の大学では、国会試験の合格率85%を切る大学もみられます。
なぜ私立大学で相関が強いのか
なぜ医師国家試験合格率によりシビアな私立大学で相関が強いのか、その原因はよくわかりません。
一つ理由として考えられるのは、私立大学医学部においての方が、より受験生の階層化が顕著であるということがいえるかもしれません。
例えばおおよそレベルの同じ宮崎大学(偏差値67)と弘前大学(偏差値65)を考えた場合に、青森に在住の受験生の多くは青森大学を受験することになるでしょう。
宮崎大学に合格する学力がある受験生であっても、わざわざ宮崎大学を受験する受験生は少ないはずです。
このように国公立大学の場合は、多少の偏差値の違いがあったにせよ、ある程度居住地によって医学部を決定する傾向があるかもしれません。
一方で私立大学医学部は概ね都市部、特に関西圏や首都圏に立地していますから、大学の選択肢が多様です。
特に首都圏では大学の数が多いですから、居住地による大学の制限はあまりないでしょう。
むしろ入学時の偏差値によって受験する医学部を選択する傾向があり、これがひいては国家試験の合格率の違いを顕著にしている可能性があります。
実際に私立大学でも難関とされる偏差値68以上の大学では、極端に国家試験の合格率が低い大学はないような結果になっています。
2018年度試験の結果
2018年の医師国家試験は、はじめて合格者が9000人を超えた試験だそうです。
合格率90.1%とのことですから、受験者の10%は不合格になっている計算です。
そして、不合格の10%は来年受験したとしても半分くらいしか、合格できません。
2018年度の結果としては、大学ごとの合格率に関していうと、現役生における合格率は100%であったのは、慶応大学と昭和大学でした。
ん〜よくがんばりました。
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