医者の専門とする診療科の中には、転職しやすい診療科と、そうでない診療科があります。
初期研修を終えて、それぞれ専門とする診療科を選ぶ際には、この転職のしやすさとを考慮に入れて診療科を選択する研修医は少ないかと思います。
むしろ多くの研修医は、現時点でどの診療科に興味あるかということを第一にして決定していると思います。
何事もそうですが、10年後、20年後の自分を見つめて最善の選択を行うことを考えると、診療科の転職しのしやすさは重要になってくるわけです。
医局とうまくいかなくなったり、転居によって働く場所を変えなければならないかもしれません。
ここで転職しやすい診療科の条件についてみていくことにしましょう。
転職のしやすさとは即ち求人数の多さである

転職がしやすいとは、すなわち多彩な働き方が用意されている診療科であると言って良いと思います。
週4日の勤務がOKであったり、当直をせずに常勤で勤務できたりする求人が用意されていることでしょうか。
多彩な労働条件が用意されているとはつまり、求人の数が多いということに他なりません。
各診療科の求人数の実際
というわけで、医師の求人転職サイトである民間医局で、各診療科の常勤の求人数をみていきましょう。
内科:3379件、消化器内科:1299件、循環器内科:1078件、神経内科:868件、呼吸器内科:965件、心療内科:573件、リウマチ科:547件、総合診療:805件、糖尿病内科:720件、腎臓内科:769件
外科:965件、整形外科:1526件、脳神経外科:876件、消化器外科:812件、形成外科:566件、呼吸器外科:592件、心臓血管外科:578件、乳腺外科:588件
麻酔科:953件、産婦人科:850件、精神科:1088件、眼科:716件、小児科:772件、皮膚科:685件、耳鼻科:646件、泌尿器:1016件、放射線科:677件、救急科:717件、美容皮膚科:552件
検診や当直バイトなどは、どこの診療科の医師でも良いことになります。
一般的な対応やちょっとした処方などは、診療科の専門性に関係なく対応できるはずです。
ですからこれら科目不問の求人を除いた、実際の専門性を生かした転職先・求人数は、上の数字よりも少なくなると思います。
こんどは医師バイトドットコムの求人数について見ていきたいと思います。
こちらは傾向がより顕著になっているような印象ですね。
内科・総合内科の求人数がダントツです。
一口に内科といっても専門性の高い内科から、療養病院の病棟管理など専門性のそこまで要求されないポストもありますから、守備範囲が広い診療科と言えましょう。
一方で放射線科や小児科が少ないのは、これらの診療科では多彩な働き方がまだ一般的でないことを示しているのかもしれません。
療養型の放射線科や小児科なんぞは存在しませんから、第一線で常勤で働くような勤務体系がまだまだ根強いのかもしれません。
転職のしやすい診療科
求人数を見ていくとやはり一般内科が圧倒的ですね。
内科系の需要は一番でしょうし、急性期から療養型まで病院の数は多いですから、そのよな病院でのポストがあるのでしょう。
特に患者さんの多い消化器内科、循環器内科などは医師の全体数も多いですから、それらを募集する求人数は必然的に多くなります。
したがって内科系はまず転職する上では最も有利な診療科と言えるでしょう。
そして調べてみて意外だったのは、整形外科の求人数の多さですね。
民間医局では、内科一般以外では並み居る強豪を抑えて全診療科の中でトップになっています。
確かに整形外科は特に高齢の患者数が多いですし、リハビリ分野でも需要がありそうです。
整形外科だけの単科系の病院も多いですからそれだけ需要があるのでしょうか。
転職のしにくい診療科
一方で、求人数の少ない診療科もありますね。
上記2つの求人サイトでは皮膚科、耳鼻科、放射線科などは、求人数が少なくなっています。
病理診断科・放射線科、そのほかマイナーな診療科といった医局支配の強い傾向のある診療科では、どうしても求人募集が少なくなってしまいます。
そもそも常勤の病理診断医や、放射線科の医師が在籍している病院というのは、比較的規模の大きい総合病院であることがほとんどですから、必然的に医局の関連病院になります。
これらの診療科では代替の医師が少ないため、簡単には解雇されないメリットがある一方で、雇用の流動性が乏しいデメリットがあります。
つまりライフスタイルや考え方の変化があったとしても、すぐには転職できない、病院を変更できないのですね。これはかなりデメリットではないかと思います。
マイナー科を将来の専門診療科として選択する場合には、これらのデメリットも十分に頭に入れておく必要があるでしょう。
さいごに
研修医時代に、将来の転職のしやすさということを考えて診療科を選択する意思が少ないものと思います。
ただ現在の医師の転職市場の動向考えるに、転職のしやすい診療科とそうでない診療科の傾向は明らかです。
もし将来的にいろいろな働き方を考慮すると言うのであれば、ぜひ転職のしやすさを考慮に入れて診療科を選択してほしいものと思います。
コメントを残す