【医師の視点】大学の医局で行われる医局説明会。真実は教えてくれないので十分注意しよう




大学病院の医局では、学生や研修医をリクルートするために医局説明会なるものが頻繁に開催されます。

学生や研修医たちはお目当の医局の説明会に出席して、将来の進路を思案します。

しかし本当のところは誰も教えてくれないので、注意してね、という話です。

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新臨床研修制度による研修医の医局離れ

大学を卒業した医学部生が、何の疑いもなく大学のどこかの医局に進んでいた時代は、研修医の取り合いや争奪戦ではありませんでした。

研修医の多い年・少ない年はありましたが、放っておいても大学を卒業し、晴れて医師となった研修医はどこかの医局に所属するのが一般的でした。

つまり5-10年のスパンで考えると、ある程度平均すれば一定数の医者が医局に所属することになっていました。

この頃は医者の給料は低く、長時間労働であったわけですが、医療に対する世間一般の視線は厳しくなく、医者たちはのびのび働いていたようです。

一方で新臨床研修医制度が2000年代から始まり、さらに外病院での研修体制が充実してきた最近では、大学病院での研修医の確保が難しくなっています。

大学病院では研修医の争奪戦が激化している

各大学病院医局に新たに入ってくる学生・研修医が少なくなるに従って、医局ごとの研修医の争奪戦が白熱化しています。

大学病院で働くいわゆる兵隊が少なくなっているのですから、この流れは必然と言えます。

例えば大学病院側が新しく研修医になった医師に対して、大学のロゴが入った白衣をプレゼントしたりとか、頻繁に研修医のセミナーを行ったりしています。

歓迎ぶりに関しては、5年目とか7年目位の使い倒されている若手の先生よりも待遇が良いのではないかと思ったりもします。

もちろん研修医に関しては17-18時くらいで仕事がなくなれば、先輩医師よりも問題なく帰宅できます。

給与面でも医員と比較するならば、総額では大して変わりないのではないかと思えてきます。

そのほか特定の診療科をローテーションしている時には、医局のお金で飲み会を開催したりするのはもちろんのこと、やる気のある研修医に対しては学会発表の指導もあるようです。

中には、医局のお金で国際学会にまで連れて行ってもらえる研修医もいるようですから、力の入れ具合はすさまじいですね。

頻繁に飲み会が開催される

そのほかにも、研修医を歓迎する目的で頻繁に飲み会が開催されます。

初期研修医は2-3ヶ月ごとに各診療科をローテーションするわけですが、新しい研修医がくる度に飲み会が開催されるわけです。

開催場所はちょっといい居酒屋のことが多く、飲食代はもちろん医局が負担します。

本当に入局を考えているような研修医がいる場合には、奮発してコース料理の出るイタリアンやフレンチで歓迎会を行うこともありますね。

歓迎する医師にとっても、毎月のように飲み会が開催されるわけですから、ソコソコの負担になってしまうのです。

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医局説明会の概要

医局説明会は、大学病院の医局が人材を集めるために開催します。

多くは研修医が進路を決めはじめる毎年5月から6月にかけて行われ、研修医のみならず医学部の5-6年生を対象として開催されます。

説明会では、各診療科の業務内容や楽しさなどが説明され、加えてどのようにしてキャリアを積んでいくかなどなどを伝えていきます。

一通りレクチャー形式の説明会が終わると、交流会の場に移動となり、そこでお酒を飲み交わしながら親睦を深めるという形態になっていますね。

場合によってはやる気のある研修医たちが、ここで医局に入る意志を示す場合もあります。

医局にとって学生や研修医は常にウェルカムである

この医局説明会なのですが、学生や研修医は常に歓迎されます。

今や大都市にある一部の大学病院をのぞいてはどこも人材不足であり、いかにして多くの学生や研修医を呼び込むかということが重要な課題になっています。

以前は奴隷扱いされることの多かった大学病院の研修医たちですが、今や本当に歓迎される立場になっているのです。

といってもその内実は、大学病院で雑用をしてくれる研修医を確保する意味合いでしかないのですが…

とにかく今の時代、全く顔見知りの学生や研修医が土壇場で参加したとしても、拒否されるなんてことはないと断言できます。

医局説明会の後には、親睦の場として飲み会が開催されます。

この場には医局員も参加するわけですが、若い研修医や学生諸君が出席しないとなると、ただの医局の飲み会で気まずいだけです。

それに飲み会に来てもらわないことには、新人が増えることもありません。

お金なんていくらでも負担する、飲み会だけでも参加してほしい、というのが医局員の願いなのです。

医局説明会では待遇・給料などの真実は語られない

さて一見するとクリーンにみえる医局説明会なのですが、本当に知りたい部分が語られることはありません。

例えば企業に就職するときには、待遇とか、給料とか、時間外手当の有無とか、どこに派遣されるかなどといった待遇面の話はあらかじめ知っておくことは必須です。

休日をどれくらい取得できるのか、お給料はどれくれいか、ということもあらかじめ明示されている場合が多いかと思います。

一方で医局説明会では、このような待遇面が語られることはほとんどありません。

ただ仕事のやりがいとか、病院内での○○科の重要性が宣伝されるだけなのです。

飲み会のような懇親会の場でも、基本的にはポジティブな側面しか聞くことはできません。

21世紀の時代にあってなんとも古臭い体質なわけです。

デメリットを話すのはタブー

私が大学病院に勤務していたときも、医局説明会でデメリットな部分を話すのはタブーでした。

あ〜来年は遠くに派遣されちゃうのかな」とか「大学病院の給料はコンビニバイトと同等」、「大学院の論文指導はまともにしてくれない

などといった不満を語るのは半ばタブーだったわけです。

そりゃ夢見てやってきている学生や研修医に、負の側面ばかりを喋ってもしかたないですから。

裏を返せば、大学病院の給料とか労働条件は最悪ということです。

やりがいを信じて医局に入ったけれど、結局はしんどいことばかりだった、というのであれば、もはやブラック企業と同じ構図になってしまいます。

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医局のブラックな部分を知るためには

医局の負の側面を知るためには、なかなか難しいのが正直なところです。

大学病院で働いている若手医師に話を聞くのが1番ですが、研修医や学生の身分では本音が聞ける場面は限られるでしょう。

結局のところ医局説明会ではポジティブな面しか語られませんから、説明会に出席するメリットはあまりないでしょうね。

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医局に入るために。まずは接点を作る

3年目の先生方になると、どこかの大学の医局に入局するという先生方も多いことでしょう。

中学校で部活に入るのと同じノリで、人生の重要な針路が決まっていく可能性がありますから、その決定に関しては十分に注意が必要です。

まず医局に入るためには、入ろうとしている医局との接点を作ることが必要です。

研修病院にいる先輩の先生が医局から派遣されているのであれば、その関係性を利用して医局に入ることは事は全く問題なく可能です。

ただし東京で研修していて関西の大学の医局に入りたいなどといった、入局を考えている医局と全く接点がない場合は、大学病院を見学するなどして、まずは医局との接点を作ることが必要になってきます。

医局員に実際の話を聞くことで、目の前にある医局にどのような特色があるのか、実際の生活はどうなるかということを知ることができるのです。

次に入局の意思表示する

医局との接点を作れば、あとは入局の意思表示をするだけです。

教授がいる研修医歓迎飲み会などに参加し、飲み会の場で教授と握手をするパターンや、最近では電話やメールで連絡することも多いでしょうか。

医局に入る・入らないに関しては、契約書はありません。注意事項の紙が渡されることもありません。

つまりは口約束なのです。ですから教授と握手した段階で、ほとんど医局に入ったようなもんですね。

勧誘の場では誘い文句に注意が必要

飲み会の場では、歓迎されている研修医をとにかく医局に入らせようとして、美辞麗句が並べられます。

「医局に入っても楽しくやっていけるよ」、「女性の先生でも問題なく働けるよ」とか、「先輩はやさしい」などです。

先輩の言葉から発せられる言葉の半分以上は真っ赤な嘘か誇張された表現ですから、注意が必要です

もし医局に入っても楽しくやっていけるのであれば、大学病院の人材不足なんぞという問題はないでしょうし、女性が働きやすいかどうかは、医局員の構成をみれば分かります。

大学病院で勤務している医局員の女性割合が30%以下くらいなら、働きにくい職場か、冷遇されているかのどちらかです。

先輩はやさしいなんぞという言葉は、個人の主観に基づいた全く根拠のない意見です。鵜呑みにしてはいけません。

実際の勧誘パターン

よくあるのは、研修医を囲む飲み会の場が設定され、そこで医局員との間で会話が交わされます。勝負どきには教授が直々にやってくる場合もあるでしょう。

医局の魅力を散々語った挙句、飲み会が終盤に近づくと「我々の医局に入りますか?」というような質問が研修医に投げかけられます。

ここで研修医が「この医局でお世話になります」といえば晴れて医局員ということになるわけです。実に簡単な世界です。

アルコールには十分注意すべし

ただし気をつけておかないのは、飲み会の場ではアルコールが入り、判断力が鈍っている可能性がある点です。

前々から入局することを決めている場合は差し支えありませんが、入局を迷っている状態で飲み会に参加し、そこで勧誘されたからといって、簡単に医局に入ることを宣言するのは避けた方が良いでしょう。

マンションを購入する時に酩酊状態で決定する人はいないでしょうし、結婚なんて意識していなかった男性が、お酒を飲みながら突然に女性にプロポーズすることもないでしょう。

人間はアルコールが入ると判断能力が落ちますから、飲み会の場で簡単に入局宣言をするのは絶対に避けた方が良いですね。

実際に私が大学病院に勤務していた際も、飲み会の席で隣のテーブルに座っていた研修医が先輩方に執拗に説得され、入局していった姿を目の当たりにして心が痛みました。

それに毎年入局を決めていく研修医の動向を見ていると、女性研修医が心臓血管外科や脳神経外科に入局していることもあったりして、家庭を犠牲にしないと続かないだろうな、誰か止めてあげても良かったんじゃないかな、と思うことがあります。

契約は医局との間には存在しない。雇用契約は病院とする

実際に医局に入局してからは、大学病院や関連病院で勤務していくことになります。

ただし実際の雇用契約は、医局組織と結ぶのではなくて、各病院との雇用契約になります。

本来は医者を直接雇用しているのは病院側であるわけですが、人事権は完全に医局が握っているのです。

医局は病院への医師の派遣を決定するが、実際に雇用契約を結ぶのは病院と医師個人ということですから、医局というものがいかに矛盾をはらんでいるかがよくわかります。

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【医師の視点】医学部生・研修医が診療科を選択するときに考えるべき4つの指標

2018年1月6日

研修医が心得ておくべきこと

そんな熱烈な歓迎を受け続ける大学病院の研修医たちなのですが、一つ心得て置かなければならないことがあります。

それは研修医たちが受ける歓迎は、決して無償の愛ではなく、利害関係に裏付けられたビジネスライクな歓迎であることです。

少々性格に難のある研修医であっても、また女性医師が外科の医局に入りたいと考えていたとしても、手当たり次第に医局側は歓迎するのです。

来るものはなんでも歓迎するのが、現在の大学病院の医局なのです。

ですから、研修医の立場ととしては上級医や指導医からの熱烈な歓迎は話半分で受け止めており、自分自身の将来を主体的に決定してくことが求められます。

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多くの医師には医局に入るという意義があまりみえない

一方で医局に入るということも、一部の診療科を除いては、決してプラスではないでしょう。

親が開業医でその後を継ぐと決めている場合には、わざわざ医局に入って奴隷的な労働をすることには全く意味がありません。

それよりも一般病院に入って、実践的な研修を積み、頃合いを見計らって独立する方が圧倒的に合理的かもしれません。

そう考えてみると、大学病院側が必死に研修医を勧誘しているのは、悪魔のささやきではないかと思えてきます。

このような現状を変更するため、一部の診療科では、大学病院の医局に所属しないと専門医がとれないような、とんでもない制度設計に変更しようとする機運もあるようです。

大学病院の医局に所属している人間からしても、大学病院と言うのは賛否両論のある組織なのではないかと思います。

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