医者として長く働くために必要な素質、能力があります。
これらの能力は生まれつき備わっているものではなく、むしろ医学部で学び、研修医として働く中で身につけていくものかもしれません。
いずれにしても医師として働き、同僚や看護師さん、患者さんの信頼を得るためには下記のような能力は必須になってくるでしょう。
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精神力・体力
一番大切なものは、精神力・体力でしょう。
このサイトでもいくつも書いていますが、医者の働き方は過酷で、本当に激務です。
労働基準法が世には存在しているらしいのですが、第一線の病院で働くためには、それらを無視して働くほどの気合いと根性と体力が必要です。
ですからその激務に耐えれるだけの精神力と肉体がなければ、途中でドロップアウトしてしまうでしょう。
医師としての他の働き方
ただし定年するまで、過労死するまでずーっと激務であるわけではありません。
医者として10年くらい頑張って働ければ、大抵の医師はそれで一人前になることができます。
その後はアルバイトで食いつなぐも良いですし、療養型の病院でまったりと勤務するもよいでしょう。
産業医や保険医としてきっかり9時5時で平日だけ働くという選択肢もあります。
ですから最初のうちだけ頑張れば、そのあとの働き方は自由というのが医師の特徴でしょうか。
的確・迅速な判断力
的確な判断力は、どの診療科でも必要とされる能力かと思います。
救急診療科などはその代表でしょうか。
1分1秒を争う現場で、常に最善の判断をしなければなりません。フジテレビドラマコードブルーのように、和気藹々としている暇はないのです。
まさにこのレベルになってくると、考えて動くとよりは体が自然に動くレベルまで達する必要があります。
救急だけでなく、外科系の診療科も的確で迅速な判断力が求められます。
例えばがんの手術の場合には、実際の手術がはじまってみたら、予想されていた状況と異なっていることも多々あります。
思いのほかがんが近くの臓器に浸潤していたとか、予想外に出血がおきて、何かしら対処しなければならない場合です。
このような場合には、自らの技術と経験と知識に基づいて、的確な判断を下さなければなりません。
内科系診療科でも的確な判断が求められる
一見すると外科や救急のように緊急的な事態が少ないように思える内科系診療科であっても、的確な判断力は必要になります。
例えば日々の外来業務なんかは、穏やかそうに見えて、一瞬の判断力が求められるわけです。
外来では患者さんの症状や、検査結果をみながら、追加で検査を行うべきなのか、薬を処方して様子を見るべきなのか、それとも他の診療科に相談すべきなのか、判断が求められるわけです。
外来は常に忙しく予定が一杯ですから、1分とか2分ぐらい考える時間があったとしても、さすがに10分間くらい考える時間はありません。
それ以前に10分も患者さんを目の前にしてあーだこーだ迷っていては、患者さんに不信感を抱かれてしまいます。
ですから患者さんにあれこれ説明しながら、次に何を提案すべきか、といった話していることと考えていることが別である、ということもしばしば経験します。
勉強し続ける姿勢
医学は日進月歩です。
数年前には正しいとされていたことが実は怪しかったり、数年前にはできなかったことが可能になってきたります。
細々した新しい薬の発売などは、まさに数年単位ではなく数ヶ月で発表されているような印象です。
それを裏付ける証拠である医学論文は、たとえ細分化された専門分野であってもほぼ毎日のように出版されていますね。
ですから、自分の専門領域について最新の知識を手に入れ、それを患者さんに還元するためには、たとえベテランの医師になったとしても常に勉強し続ける姿勢が必要なわけです。
医者の全てが勉強好きなわけではありませんが、勉強が大嫌いだな人間は医者には向いてないでしょうね。
コミュニケーション能力
ほとんどの診療科では患者さんと直接会話をし、治療するわけですから、非常に高いコミニケーション能力が必要になってくるわけです。
医療の世界でよく言われるコミュニケーション能力は、相手を不快にしない発言や行動をする、相手のことを思いやった姿勢を示すということになるかと思います。
まずこれらの能力が最低限備わっていないければ、患者さんの診療をスムーズに行うことが難しくなってしまいます。
医者に求められているのは、企業に求められている人材のように、なにもハキハキして自分の意見を述べられることではありません。
何よりも相手を不快にしない、発言・行動というのが非常に重要になってくるわけです。
患者さんを傷つける医者もいる
しかし医者の中には、患者さんを傷つけてしまうような言葉や行動を容易にしてしまう人思います。
「あんたの病気は治んないよ」と真顔で言ったり、患者の真剣な訴えを鼻で笑ったりといような発言・行動です。
恋人同士であれば謝れば済む程度なのかもしれませんが、これらの不用意な発言・行動は、医師と患者の信頼関係をぶち壊してしまうものですから、絶対に避けなければなりません。
ふとした医者と患者の信頼関係のほころびが、大きなトラブルが起こった際には容易に医療訴訟に発展してしまう危険性を孕んでいるのです。
病理診断科・放射線科・研究医はどうか
これらの職種は、患者さんと直接触れ合う機会はほとんどないか、あってもごく少数と言えるかもしれないですね。
したがって一見すると、コミュニケーション能力は必要ない、ように思えてきます。
ただし病理診断科や放射線科は、カンファレンスなどで他の診療科の医師と治療方針について話し合う場面がよくあります。
これらの診療科では、患者のことを思いやる必要はないかもしれませんが、他科の医者が求めている情報を的確に伝え、臨床現場で役立つように還元する必要があります。
また研究医であったとしても、今や個人プレーだけでなにかしら研究が進むことはほとんどありません。
同じ研究室の人間と協力しあって成果を出さなければなりません。
それに研究の成果を発表するとなればプレゼンテーション能力は必須です。
聴衆を納得させる喋り方のうまさとか、質疑応答のスムーズさは、臨床医以上に要求されるかもしれません。
このように考えてみると、患者さんと触れ合う機会が少ない診療科や研究医であっても、一般的なコミュニケーション能力というのは高いレベルで必要になってくるわけです。
まとめ
医者が考える、医師として働くために必要な能力を列挙してきました。
実際はこれらすべて能力が完全に備わっている理想的な医師はそう多くはありません。
ただし医師として働く以上は、これらの能力を向上させるようにがんばっていく必要があります。
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