都市部以外の病院を総称して地方病院と呼ぶことが多いでしょうか。
ここでは医師が地方病院で働くことにおいてのメリット・デメリットについて、ご紹介したいと思います。
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地方病院の定義
明確なる地方病院の定義はありません。
過疎の山間にある病院を地方病院と定義するかもしれませんし、地方都市にある病院を地方病院と呼ぶのかもしれません。
東京から考えると、東北地方の病院はすべて地方病院、といえるかもしれません。
一般的に医師の多くが想像する地方病院とは、
- 人口がおおよそ10万人以下の市町村にある総合病院
- 病床数としては200-500程度
- その地域では一番規模が多い病院
と言えるでしょうか。
このような病院は大学病院から派遣されてくる医師が勤務にあたっていることが多く、それでいて常に慢性的な医師不足に悩んでいるようなところです。
この記事は、上記のような地方病院のイメージについて考えてみたいと思います。
医師が地方病院で働くことのデメリット
地方病院というとどちらかというとネガティブなイメージがあります。
まずはデメリットについてご紹介します。
忙しい
地方病院で勤務することの1番のデメリットは、その忙しさでしょうか。
そもそも地方には患者の数に対して医師の数が十分でなく、忙しい現状があります。
よく言われるのは、朝一番から診療を開始したのは良いけれども、昼ごはんも食べることができずに夕方まで働き続けることも珍しくないのです。
忙しくとも医師の数が豊富であり、交代で休みが確保できるのならば問題ないのですが、実際のところは長時間働き続けれなければなりません。
例えば当直は月に7回とか、休日も待機当番で拘束されてしまうことが少なくありません。
学会に行くのも一苦労
このほか学会に行くのも一苦労です。
地方病院は学会が開かれる都市部からは大きく離れており、学会に行くにして時間とお金がかかります。
それに上記にも述べたように、医師の数が足りていない地方病院では、学会のためとはいえ病院をお休みするのはそう簡単なことではありません。
医療設備が十分でない
また医療設備が十分でない背景も挙げることができるでしょうか。
地方病院は医療資源が限られていますから、都市部のように最先端の治療を提供することは簡単ではありません。
都市部の病院なら治療できるような疾患であったとしても、他院に紹介したりするなど手間がかかるのです。
また医師にとっては、研鑽を積むのが難しいということにもなります。
難しい、治療困難な症例は地方病院で治療することは少ないですし、高度な治療からも遠ざかることになります。
若い先生が長年地方病院で勤務するのは、少々考えものというわけです。
娯楽がない
これはかなりの地方病院の場合にはなりますが、過疎地域には娯楽がないのが一般的でしょうか。
仕事が終わったからといって遊ぶところはありませんし、休日も同様です。
したがって地方病院ではお金を使うところがなく、逆にお金が溜まっていくなんて言われますね。
単身赴任しなければならないこともあり
また医局に所属している場合は、基本的には大学病院のある都市部に住居を構えていることが多いと思います。
一方で遠く離れた地方病院に勤務を命じられたような場合には、異動しなければなりません。
家庭のある医師の場合は、子供の教育や住居費用のことを考えると、単身赴任する医師は少なくありません。
特に子供が大きく環境の変化が難しい場合には、単身赴任する医師が多いのではないかと思います。
地方病院で勤務することのメリット
そんなデメリットの多い地方病院なのですが、ちゃんとメリットもあります。
給料が高い
医者の世界も需要と供給のシステムが働いています。
地方病院は上記デメリットゆえ、あまり医師が行きたがらないのが実情です。
したがって地方病院で働く医師の給料は比較的に高めに設定されており、過疎地へ行けばいくほどその傾向は顕著になります。
都市部では年収1000万円で募集されているようなポストが、地方病院ではその2−3倍であることは珍しくありません。
病院全体の雰囲気がおおらか
これは私の主観ですが、地方病院は全体的に雰囲気がゆるやかである、と言えるでしょう。
医師、看護師同士は顔見知りのことが多く、コミュニケーションは円滑に進みます。
都市部の病院だと「明日また紹介してくれ」となっているような状況でも、電話一本で診察に来てくれたりするのが、地方病院の良いところです。
また患者さんも変に権利意識の高い方がおらず、基本的には医師を信頼しているようなスタンスがあります。
したがって忙しさの点を覗くならば、地方病院の方が働きやすい環境があるのかもしれません。
全体としての地方病院で働く医師の傾向
いろんなことを書いてきましたが、やはり全体として地方病院で長く働くことは簡単ではありません。
特に地方の第一線となる急性期病院の場合には、あまりにも激務であって長く続けることが難しい現状があります。
この激務に耐えかねて、より楽な勤務ができる療養型の病院に異動したり、開業したりといったことが頻繁に起こっています。
2000年代に入って盛んに叫ばれるようになった医療崩壊、特に地方の医療崩壊の背景には、この方な事情があります。
もちろんのことながら、元来その地域の出身で、両親や友人、家族が病院の近くに住んでいるような場合なら、苦になることは少ないかもしれません。
しかし都市部から単身赴任しているような医師に対して、地方病院での激務を長く強要するのはかなり無理があるといえそうです。
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