医者の給料についてのまとめ。研修医から開業医、研究医や産業医まで

医者の給料ってどれくらいなんでしょうか?

研修医から一般的な勤務医、研究医や産業医など幅広く考察してみましょう。

医者の給料の概要

厚生労働省が発表している平成27年の「賃金構造基本統計調査」によると、勤務医の平均年収はおおよそ1100万円とされています。

若い医者からベテラン医師まで、勤務医の平均が1100万円というわけです。一般病院で働いている常勤の医師に関して考えると、もう少し平均年収は高くなるかもしれませんね。

この医師の給料を基準として、研修医からベテラン医師までのお給料について考えてみましょう。

医師の給与体系の特徴

ボーナスがない。あっても少ない

これは勤務している病院によっても様々ですが、医者にとってはボーナスがないことが多々あります。

民間病院では1年間の給与があらかじめ決定されており、ちょうど野球選手のように年俸制の給与体系になっている場合があります。

またボーナスという制度がある病院であっても、年に2回、給料3ヶ月分のボーナスが支給されることはほとんどなく、給与1ヶ月分とか、かなりボーナスの額が少ない場合が多いのではないでしょうか。

月収だけで考えると多くの給料もらっていると思われる医者なのですが、ボーナスも含めて考えると、会社員とあまり変わらない事例も十分にあり得るのです。

昇給がない。あっても少ない

また医者には昇給があまりないと言って良いでしょう。

医長から部長に役職が上がったからと言って、目に見えて給料が上がるわけではありません。

むしろ無駄な会議や書類業務で、時給で考えると下がってしまう場合も多々あります。

また管理職につくと残業代が支給されずに、これまた時給で考えると下がってしまう場合は少なくありません。

一般企業でいうところの、名ばかり管理職ですね。

もし役職が同じであれば、医師としての経験年数が増えたからといって昇級するわけではありません。

加えて専門医を取得したりとか、指導医の資格を取得したからといって、これまた給与が上がるわけではありません。

手当がない。福利厚生がない。

その他手当がないことも特徴でしょうか。

上の記事にも書きましたが、医者の福利厚生は非常に貧弱です。

寒冷地手当や赴任手当はもちろんありませんし、病院によっては住宅手当もあったりなかったりします。

したがって一般企業とトータルの収入を比べてみると、実はそこまで大きな差はなかったなんてことが珍しくありません。

大学病院では給与体系は全く異なる

大学病院に勤務している場合には、給与体系は非常に複雑になっています。

大学病院からもらえるお給料は、月額にすると時間外手当を含めてもせいぜい20-30万円程度でしょう。

したがってそれらの給料を穴埋めするために、近くの病院で働きに行ってアルバイトをしなければならないのです。

大学病院で働いている医師によっては、一ヶ月の間に5-6病院にアルバイト勤務をしていることもあり、それぞれの病院から給与法明細が送られてくることになります。

大学病院の給与体系は、上記の全てに当てはまります。ボーナスはないですし、医局員という身分の場合には、どんなに経験年数があったとしても給与体系は同じです。

下手すると研修医の方が給与が良いという逆転現象が起こる場合もあります。そのほか住宅手当などの福利厚生も皆無です。

大学病院の給与体系は、一般病院に勤務している医師の給与体系とは大きく異なっていると考えて良いでしょう。

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勤務医

医師の勤務体系としてもっともポピュラーな、勤務医について考えてみましょう。

初期研修医は一番安い

初期研修医の年収は病院ごとによって大きく異なります。

大学病院の研修医は月収にすると20-30万円程度ですから、年収に換算してもせいぜい300-400万円程度です。

一方で民間病院や地方病院の一部には、月収が50-60万円程度に達する病院もありますから、この場合には年収が600-700万円程度に達する場合もあります。

社会人1年目で初任給が50万円ともなると、かなり恵まれている存在かもしれません。一般的には都会よりも地方病院の方が、初期研修医の給料は高いとされています。

また初期研修医の場合には、住宅手当てやボーナスなどは支給されないことが一般的であり、福利厚生は極めて貧弱といえます。

残業や休日当番等が多く、時間外労働も多いですね。時給に換算すると必ずしも高収入とは言い難い部分もあります。

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後期研修医では大幅アップ

初期研修を終えた、医師として3-5年目の医師を後期研修医と呼ぶこともあります。

都市部の病院によっては、研修医+ αの扱いにしかならず、年収にすると600-700万円程度に抑えられている病院もたくさんあります。

しかしながらそのほかの多くの病院では、1人の医師として、病院では戦力として扱われますから、初期研修からは給料は大幅にアップして、おおよそ800-1000万円程度におさまるでしょうか。

勤務する病院によっては、時間外手当やボーナスなどの福利厚生もしっかりと完備され、3年目から年収1000万円近くなることも決して珍しくはありません。

5年目ともなるともはや医師として独立し始める頃ですから、年収は1000万円近くなる医師が多いように思います。

一方で医師としては初期研修医と変わらず忙しく、この時も時給に換算した場合には給料に満足している医師は決して多くはないでしょう。

専門医レベルで頭打ちに

医師として8-10年目、専門医レベルまで達するとようやく給料も医師として一人前といった形になるでしょう。

年収は勤務する病院によって異なりますが、概ね1000-1500万円程度に収まることが多いかと思います。冒頭に書いたように、平均年収1000万円は軽く超えてくる医師が多いのではないでしょうか。

専門医として働いている限りは、医師の経験年数が異なっていても給料には大きな差はありません。役職による差があるとしても、せいぜい数百万円程度でしょう。

医師は年功序列の賃金体系ではなく、同一労働・同一賃金の傾向にありますから、医者として10年目の専門医であっても20年目の専門医であっても、お給料が2倍や3倍も変わることはないでしょうね。

一般の勤務医であれば、年収の天井はおおよそ2000-2500万円程度であり、役職のない医師が2000万円を得るのはかなり難しいのではないでしょうか。

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院長レベルが勤務医の限界

医師として経験を積むと、自然と病院の中の幹部である院長や副院長などの役職を与えられます。このクラスになると、病院の規模にもよりますが年収は大体2000万円を超えてくるでしょうか。

ただし公的病院や企業系統の病院の院長であれば、あくまで雇われの身ですから、年収が跳ね上がることはありません。

あくまで雇われ人としての給料が高くなるだけなのです。勤務医の身分であれば、特別な技量を持たない限り、年収はせいぜい2000-3000万円程度が限界でしょう。

大学病院に勤務する医師の場合

大学病院に勤務する医師の場合、大学病院からもらえる給料は研修医レベルかそれ以下まで少なくなっています。

大学病院に勤務する初期研修医よりも、専門医の医師の方が給料が少なかったなんていう笑えない話もあります。

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ただし大学病院の低い給料を補う形で、週に1−2日くらい近隣の病院にアルバイト勤務している場合がほとんどです。

したがって、トータルの収入にすると一般病院で働く医師よりも給料は少し低いだけであって、大幅に給料が低い、というわけでもないようです。

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美容形成という例外

勤務医の中にも、上記の給与に当てはまらない働き方が存在します。それが美容形成の領域です。

美容形成は基本的には自由診療の領域であり、患者をたくさん集めることができれば、莫大な収入を得ることができます。

患者さんの受けがよく技術もそこそこという医師であれば、医師としての臨床経験が乏しくとも、年収2000万円以上を稼ぎ出すことも十分に可能です。

開業医になれば天井知らず

開業医になれば給料は天井知らずであり、自らの営業努力によっていくらでも高めることができます。

特に医師を複数名雇うような医院やクリニックの経営者ともなると、その年収は大幅にアップしいわゆる典型的なお金持ちの医者になることができます。

親から病院を引き継いだ医師、病院経営に極めて成功した人の中には、地域でも有数の規模の病院の理事長になることもあります。

彼らこそまさに経営者であり、医師の働き方の中でもは最も多くの収入を得ることができる働き方になります。

その場合には年収は天井知らずであり、億単位の年収を稼ぎ出すことも不可能ではないでしょう。収入に関しては最も成功した医師といってもよいでしょうね。

勤務医レベルでは不可能だった、ポルシェやフェラリーにも十分に手が届く可能性があるといってよいでしょう。

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研究医は安い

さて、今度は勤務医以外にも目を向けてみましょう。

研修医は、医師免許を持った労働者の中で最も給料が最も低い職種であるかもしれません。大学や研究所などの施設で働き、おもに基礎研究を行う医師をさします。

これらの医師たちは医師免許を持ちながら日々研究に励んでいるわけですが、その給与体系は医師免許を持った人間という扱いではなく、一般の大学職員や研究員としての扱いになるのです。

例えば大学医学部において助教、講師程度の役職であれば年収1000万円に達することはまず不可能でしょう。

医学部の教授レベルまでに出世できない場合には、給料は1000万円に到達することすら難しく、給与面では同世代の勤務医と比較するとかなり不利な状況になるでしょう。

医学部の教授であったとしても、年収はせいぜい1000-1500万円程度であり、一勤務医と給与面では大差のない状況になります。

世界に誇れるような研究成果を出した医師でさえも、給与面で考える極めて平均的となってしまうのです。

このように給与面から考えると、医師ががんばって努力して、大きな研究成果を出すことは自己満足でしかないことが伺えます。大きな矛盾を抱えているのです。

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産業医、保健所で働く医師、保険会社で働く保険医

その他にも医師には多様な働き方があります。

企業で社員の健康のために働く産業医、保健所で医療行政や衛生管理のために働く医師、生命保険の審査をお手伝いする保険医など、多岐に渡ります。

これらの医師は企業や地方公共団体に雇われている身分であり、給与体系などはその組織のものが適応されます。

どこの組織でも、医師相応の給与体系を用意していることが多く、年収1500万円はちょっと贅沢過ぎますが、大抵の場合は年収1000万円くらいで落ち着くようですね。

呼び出しなく休日は暦通り、福利厚生がしっかりしている点では、意外と理想的な医師の働き方ではないでしょうか。

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