日本に住んでいる限り、地方病院でも最先端の医療を受けられるように、医療設備を整える必要があります。
しかし残念ながら、地方と都市部の病院によって診療のレベルがは違ってくるかと思います。
やはり規模の大きな病院の方がいろいろな検査、治療において体制が整っています。
大きな病院は診療レベルが高いことが多い
一般的には大きな病院の方が、診療のレベルは全体的に高い傾向にある、かと思います。
東京にある大学病院は、設備も人も潤沢に揃っていますし、余裕がある分それだけ高度な医療を行うことができます。
他の病院で手術ができないとされた患者、これ以上治療法がないとされた患者であっても、なにかしら望みある治療を受けることができるかもしれません。
一方でスタッフの数も最先端の医療機器も足りていない地方の小規模な病院では、都市部では当たり前の高度な医療受けることが難しいでしょう。
最先端の医療をもってすれば治療できるような病気、状態にあっても、諦められてしまう場合もあると思います。
実際にあった格差を目の当たりにした例
私が大学病院に勤務していたときには、いくつか驚くようなこともありました。
地方の病院では手術できないとされたがん患者であっても、大学病院の外科医の基準に当てはめると手術可能で、どんどんと手術されていく患者さんを何人も目にしてきました。
やはり設備や医師の揃っている大学病院の方が、より高度な医療ができるようです。
また他の病院ではあるがんと診断された患者さんが、実際は大学病院でよく調べてみるとがんではなかった、ということもありました。
さらに胃がんと診断されていた患者さんが、実は血液の病気で、これらの治療法が全く異なっていた、というようなこともあります。
検査の選択肢、結果の解釈などに関しては、より専門的な医師の集まっている都市部の総合病院の医師の方がより正しい診断を下せる可能性があるのでしょうか。
どうしても住んでいる場所で医療レベルに格差が出てしまう
では、地方病院においても最先端の医療が受けられるようにすべきかとなると、それは難しいかもしれません。
日本全国どこにいても最先端の医療を受けるようにすることは、土台無理な話です。
おそらく東京のど真ん中で心筋梗塞で倒れた場合と、地方僻地の病院から遠く離れたところで心筋梗塞で倒れた場合では、生き延びる確率が2倍以上は違うと思います。
都心の方が医療設備の整った医療機関までの距離が近いはずですし、医療機関の設備やスタッフは地方病院よりも充実しているでしょう。
一方で地方の離島で同じような症状で倒れた場合、設備の整った病院まで半日くらいかかるかもしれません。
このような都市部と地方での医療格差はもはや埋めようがないですから、医療格差は甘んじて受け入れるしかありません。
これからの課題
どうしようもない医療格差なのですが、裁判所は許してくれないようです。
医療訴訟の案件などをみていると、地方病院の診断ミスや診断の遅れ、治療に関する死亡例で裁判になり、病院側が敗訴する例を散見します。
私も都市部から遠く離れた地方病院で診療していたことがあるのでよくわかるのですが、地方病院の先生方は限られた時間と医療資源の中で、最善を尽くして医療を行なっています。
そしてたくさんの患者を診察しなければならない状況や、医療資源が限られている現実から、提供できる医療レベルにはどうしても限界があります。
スーパー外科医だって、最先端の診断・治療機器やたくさんの優秀なスタッフがいなければ、パフォーマンスを発揮できないのと同じです。
このような地方病院での医療レベルに、スタッフも医療機器も豊富な都市部の大学病院の医療レベルを求めるのは現実的ではありません。
しかしニュースの記事などをみていると、裁判では都市部の大学病院の診療レベルを基準にして裁判が進んでいるような印象があります。
このような医療格差は仕方ない、という認識が許容されることを願うばかりです。
コメントを残す