【勤務医の視点】総合病院で外来が遅れる5つの理由。どうして待たされるの?

どんな患者さんでも、病院の待合で驚くほどの時間待たされたことはあるでしょう。

私も外来をしていて「何時間待たせるんだ!!」「予約時間の意味はなんなんだ!!」などとお叱りを受けるのは日常茶飯事です。

医者だって意地悪したくて待たせているわけではないのですが、病院の診療上どうしても外来の業務が遅れてしまうのです。

今回は外来が遅れてしまう理由についてご紹介しましょう。

患者数が多いので外来が遅れる

昨今の医師不足もあり、担当する外来患者の数が自分の能力以上に多くなっている現実があります。

私の外来では9時から始まった午前中再来で、30人ほどを診療しなければならない曜日があります。

9時から12時までで30人ですから、単純計算で一人当たり5分になります。

定期的に通院している患者と言えども、カルテをざっと見直してこれまでの経過を頭に浮かべ、患者を招き入れてお話を聞き、何か症状の変化があれば処方薬を変更する。

そして患者が出て行ったところでカルテをまとめあげ、書類の記入を済ませる

この流れを5分で30回休みなく行い続けるのは、はっきり言って不可能です。

おしゃべり好きのご老人なら会話しているだけで5分は簡単に過ぎてしまいます。

病院の外来はそもそも医師のキャパシティ以上に患者の予約がなされているのです。

患者さんが予約時間に遅れてくる

医師側の診察が時間通りでなければ、患者さん側も時間通りでない場合があります。

天候が悪い時・公共交通機関が乱れている時などは、時間通りに病院に到着できない患者さんが続出します。

病院の最寄り駅の列車の運行が停止した場合などには、患者さんの数が一時的にぐっと減ることになります。

今日は外来患者さんがなかなか来ないねぇ」などと言っていたら、列車の運行が停止していたこともありました。

来院しない患者もいる

患者の中には、病院に来ない患者さんもいます。

予約を忘れる患者さんもいれば、当日の体調不良で来られない方もいます。

何れにしても予約通りに来院されない場合には、たいてい外来にいる看護師が電話をかけたりして、対応を考えてくれます。

看護師さんだけで処理できそうな案件であれば適切に処理されますし、看護師でも対応が難しそうであれば外来にいる私たち医師に相談がきます。

ただ約束ですし検査の予約も入れていることが多いですから、ブッチは避けてもらいたいですね…

想定外の事態がおこる

もちろん患者さんは人間ですから、想定外の事態が多々発生します。

いつもはお元気だった患者が予約外でやってきて「体調が悪いので入院させてくれ」と言ってきたり、外来中に入院患者が急変してしまったりすることもあります。

外来の予約時間は、そもそもがかなり無理な設定になっていますから、少しでも不足の事態がおこると10分、20分と遅れが出ます。

そして小さな遅れの積み重ねが、60分単位の遅れになってしまいます。

すべてが順調に進んでも遅れがでるような予約のシステムでありますから、少してもでイレギュラーなことが起これば、その外来の遅れは容易に後ろにずれてしまうわけです。

そんな時は自分も辛いですし、患者さんもつらいでしょうね。でも仕方ありません。

雑用が多くで外来が遅れる

患者さんを診察して、検査の予約をして、薬を処方して、だけが外来業務ではありません。

病院の内部から紹介されてきた患者さんであれば、経過を把握する必要があります。

また診察した後には院内の手紙を書いて「ちゃんと診察しましたよ」とお伝えする必要があります。

加えて院外から紹介されてきた患者さんや、逆に通院している患者さんを院外のクリニックや医院に紹介する場合には、これまでの経過を要約した診療情報提供書を書く必要がでてきます。

この紹介状を書くにも結構な時間がかかるので、外来はさらに遅れます。

あまりにも遅れている時は全部の業務の後回しにすることも多いですね。

医者が送る紹介状・診療情報提供書は通行手形のようなものである

2017年12月9日

電子カルテの入力に時間がかかる

電子カルテの入力もすごく時間がかかります。

検査結果を見て、話したことを書いて、処方を入力して・・・となると、診察している時間と同じくらいかそれ以上に時間を要します。

だれかキーボードを入力してくれる医療クラークさんがついてくれるといいのですが…一般病院ではそこまで人員が足りていないことが多いでしょうか。

また月に1回くらいは電子カルテがフリーズすることもあって、その場合は仕事が完全にストップします。

入力中の記事内容が全部消えた場合なんかは、これはかなり精神的にストレスですね。

医者の中には電子カルテの反応の悪さに、思わずディスプレイの液晶画面を割ってしまった医者もいます。

もちろん許される行為ではありませんが、その気持ちは十分わかります。

まとめ:外来が遅れるのは仕方ない

このように、医師の外来が遅れてしまうにはいくつかの理由があります。

しかし、どれも医師個人の力や頑張りだけでは改善することができませんから、どうしようもありません。

医療クラークを導入するとか、患者の振り分けを病院全体で考慮するなど、全体的な対応が必要になってくるでしょう。

【勤務医の視点】外来診察に看護師がつきっきりなのも少なからずデメリットがあるように思う

2018年9月2日

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