【医師の視点】身の回りの研修医の進路について考察する。どんな生き方をしているか




医学部を卒業するとみな研修医として働くことになります。

今では彼らも立派な医師となって働いているわけですが進路は様々です。

私の知る限り、研修医がどうなったのか書いていこうと思います。

同じ研修病院で働いていた20人の医師の進路

まず20人の研修医ですが、出身大学にはかなりばらつきがありました。

もちろん研修していた病院は関連病院でしたたので、そこの大学医局出身の研修医が多かったですね。

一方で地方の大学出身で、実家が東京なので里帰りした先生も多かったです。

再受験の先生がいたり、国家試験を留年した先生もいたりと、いろいろな顔ぶれが揃っていました。

その同期とは温泉旅行やスキー旅行、たくさんの飲み会など、いろんなことを経験しました。

お互い支え合い、幸い誰もドロップアウトせずに2年間の研修を終えたのは良い思い出です。

苦楽を共にした仲間ということもあり、研修医が終わってからも、年に何回かは集まっています。

研修医時代に辛かったこと4個。研修医生活は色々辛いことがあるんです。

2017年12月22日

研修医の進路について

大学の医局に所属して、勤務医として働く

一番の王道のパターンですね。7割くらいに当てはまります。大学の医局に所属し勤務医として働く道です。

大学を卒業して10年目位であれば、特に医局を離れる人もおらず、みなさん地道に勤務医として働いています。

専門性は皆それぞれで、内科、外科、眼科など様々です。

専門としている診療科のばらつきは、いま研修医に人気の眼科や皮膚科が多いのではなくて、メジャーな内科や外科が多いなど、ちょうどうまい具合に医療需要に合ったものになっていると感じます。

私の研修していた病院はブランド病院では無いですが、まずまず真面目な人たちが集まる病院だったので、そのような傾向になっているのかもしれません。

医局に所属せず、病院に就職する

20人ぐらいの中には、医局に所属せず研修病院に残って就職した先生もいます。

将来は親のクリニックを継ぐことが半分決まっている先生や、また事情があって医者を一生続けるつもりがない先生などは、このようなキャリアを積んでいるような気がします。

大学病院で研究がしたいとか、大学病院に所属しないければ専門医を取ることができない一部の診療科以外は、医局に所属しないのも十分有望な選択肢なのかもしれません。

このブログでもなんどもご紹介していますが、大学病院の給料は非常に安く抑えられています。

研究をしたいとか、大学の医局に所属しないと十分な症例がみれないという事情がない限りは、必ずしも大学の医局に所属する必要はないのかな、と思っています。

【奴隷医の視点】大学病院の勤務医のお給料は不当に安い。その現状について考察する

2017年1月27日

アウトローな生き方をする研修医もいる

また、絶対数は少ないですがポピュラーな医師の道を外れて少数派の生き方を選ぶ先生もいます。

美容整形

ある先生は研修医を終えてから真っ先に美容整形の道に進みました。

話を聞いてみると給与は一般的な勤務医よりもぐっとよくなるものの、上層部から課せられる営業ノルマは厳しいようです。

美容整形の世界は民間企業のビジネスとと同じなのに加えて、やや供給過剰な面もありますので、競争が激しいのかもしれません。

脂肪注入や二重など保険診療外の美容整形分野は、形成外科ほどの専門的な技術を必要としない診療が可能です。

したがって医師としての専門性が高い分野ではないので、5年後、10年後に同じ世界で生き残れるかどうかは、難しいところです。

自ら新たに美容クリニックを立ち上げるにしても、ライバルは多いですから、勝ち残るのは容易ではないでしょう。

フリーランス医師として働く

ある先生は大学の医局に所属したものの、雰囲気が合わなかったのか数年でやめてしまいました。

彼はどこの病院に就職するでもなく、一般外来や当直アルバイトをしながら食いついないでいるようです。

今後医師の数が爆発的に増えた場合には、能力のない医師の立場は危うくなるかもしれませんが、あと10年くらいは全く問題ないでしょう。

いまのところは医師免許がありさえすれば、生活に困窮することもないでしょうから、自分のスタイルに合わせて生活している彼は、ちょっぴり羨ましくもあります。

やる気のある研修医の進路

次に、やる気のある研修医に関して考察してみましょう。

働き始めたばかりの研修医の中には、すごくやる気に満ち溢れている方は多いですね。

医者として成功してやろうと考えている初々しい研修医の先生も多いのではないでしょうか。

とはいっても実際に成功を掴める医者はごく限られています。

そんな研修医たちは、初期研修医を終えてどのようなキャリアを形成するのでしょうか。

有名研修病院から海外留学、出世のパターン

これが研修医の中でも1番の成功者のパターンでしょうね。具体的なキャリアの積み方は、下記の通りです。

医学部の学生時代から高い志を持ち、国内の有名研修病院で初期研修を行います。

そこでは研修医としての基礎的知識・技術に加え、英語力も獲得し、満を持して米国の病院で臨床業務を続けていきます。

さらに米国に留学した後も類い稀な努力によって業績を積み上げ、40歳近くになってから日本の医学部教授として帰ってくるというパターンが、最も王道で成功者のパターンでしょうか。

具体的には神戸大学・感染症内科の岩田健太郎氏新潟大学・小児科の斎藤昭彦氏などでしょうか。

岩田先生は沖縄中部病院、コロンビア大学などで勤務されていますし、斎藤先生は聖路加国際病院、UCLAなどで勤務されています。

日本の医学部を卒業した臨床系医師のキャリアとしては、最高峰といってよいでしょう。

ただしこのようなキャリアを形成できるのは、有名研修病院で勤務している研修医の中にあっても、ごくごく一部であることを十分に心得ておくべきでしょう。

【勤務医の視点】いわゆるブランド病院について。病院の特徴と研修医がはたらく意義とは

2018年2月18日

有名研修病院から通常のキャリアを積むパターン

また有名研修病院で研修を行ったとしても、その後は通常のキャリアに戻る研修医もいます。

初期研修後を行った後に大学病院の医局に入るとか、あまり医局色の強くない民間病院で勤務する先生も多くおられます。

この場合には、初期研修病院は違えども、3年目からのやる気のない研修医と同じキャリアになってしまいますので、せっかく苦労して就職した有名研修病院のアドバンテージはなくなってしまいます。

将来の見通しは難しくて、有名研修病院で働いてたとしても、結婚や家庭の事情により、キャリアに制限が出てしまう場合も多々あります。

10年も15年も経過すれば、どこで初期研修を行ったのかなどは臨床能力や業績にはほとんど影響してこないでしょう。

女性医師における妊娠と出産の難しい問題。出産後も働きやすい病院・診療科のポイント

2017年8月24日

有名研修病院からドロップアウトしてしまうパターン

有名病院で研修したからといって、全員が成功できるわけではありません。

あえなく夢破れる研修医もいます。

有名研修病院では周囲の研修医もやる気のある医師で溢れていること多いでしょう。

当然のごとく研修医同士の競争が激しくなります。

また一部の病院では研修医の勤務実態は非常に過酷であり、肉体的にも精神的にも非常に負荷がかかります。

研修医の中には、そのような競争や負荷に耐えることができず、途中でドロップアウトしてしまう先生も少なくはありません。

私が知っている先生たちも、何名かは有名病院での研修中にドロップアウトしてしまいました。内実はかなり忙しいようです。

手術室に来なくなった2年目研修医

ある先生は某ブランド病院の外科で研修中でありました。

外科研修自体が忙しいのはもちろん、ブランド病院ならではのプレゼンテーションや症例報告、当直などが重なり心身疲労となってしまったようです。

外科研修が始まり約1ヶ月経過したところで、ついに手術室に来れなくなってしまったとのことでした。

その後、研修医はなんとか無事に2年間の初期研修を終えたようですが、いわゆる王道のキャリアパスは諦めざるを得なかったようです。

大学病院で研修を行い、研究で成果を出す

別の記事でも書いていますが、ブランド病院で働くだけが出世の道ではありません。

むしろアカデミックな世界で生き残ることを考えるならば論文を書く必要があり、論文を執筆すとなると大学病院は無視できない存在です。

やる気のある研修医の中には最初から大学病院で研修を行い、研修2年目や3年目の段階で大学院に入学する医師もいます。

このように大学院での研究を念頭に置いて早いうちに医局に入り、研究生活に入ることで早くから研究生活をスタートすることができるのです。

その後は研修を継続して業績を積み上げ、出世していくパターンですね。

ブランド病院で2年・後期研修を含めて5年研修したとなると、特に基礎系の研究なんかではかなり遅れをとってしまうことになります。

したがって先を見据えて早くから大学病院で研修を行い、研究生活をスタートさせるのも正しいキャリアパスと言えるのではないでしょうか。

【医師の視点】学閥が強い大学は研究力も高い。出世をするなら学閥の強い大学が有利である

2018年5月30日

それでも教授になれるのは一握りの医師だけ

こんなにも頑張り屋さんの医師たちなのですが、アカデミックな世界でゴールといえる、いわゆる大学病院の教授になれるのは一握りの医師だけです。

論文を書いて業績を残すことが教授になるに必要不可欠な訳ですが、こればかりは個人の能力もさることながら、環境にも大きく左右されるのです。

キャリアステップは環境に大きく左右される可能性

医者の場合には、個人の医師とか能力より、環境の選び方が大きくキャリアに関わってくるといってよいでしょう。

どんなに優秀な能力を持った医師であっても、地方病院のいち勤務医であれば教授になったり脅威的な業績を挙げることはほぼ不可能です。

学会や医療界から注目されるような素晴らしい業績を残すためには、前提条件として有名病院や大学病院、もしくは海外の研究機関に勤務することが必要になります。

そして運も重要です。

業績をたくさん出している機関にはそれだけ多くの人材がおり、多くの研究が進行されています。

研究をしたからといって素晴らしい業績になるとは言えませんし、本当に意味のある研究となるのはほんの一握りです。

また臨床面においても、重要な場面を任せてくれるかどうかはその時の上司や同僚の顔ぶれにもよります。

金銭的な成功は自分次第

やる気のある研修医の進路、からは少し逸れますが、医師として経済的に成功するにあたっては自分次第でしょうか。

大きな病院を設立する、医療法人を大きくするといったことは自分の腕次第です。

ただしこの場合には冒頭に述べたように有名病院やブランド病院で働くこととは相反することでもありましょう。

経済的な成功を目指すならば、臨床能力に加えて微妙な経営感覚も必要になってくるでしょうか。

まとめ

研修医たちの進路について考えました。

つい20年前までは、大学の医局に所属することが王道であったのですが、新臨床研修制度の登場により、風向きは大きく変わってきました。

今や市中病院に就職したとしても、十分に医師として技能を身につけていくことができる体制になっています。

これからがいろいろな進路に進んでいく分岐点なのかもしれません。

【医師の視点】医学部生・研修医が診療科を選択するときに考えるべき4つの指標

2018年1月6日

Sponsored Link







関連する記事



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。